ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2023年3月11日
東日本大震災から十三回忌を迎えた『原発最前線』の葬儀屋さんが思う
- ほこだて仏光堂 相馬店
- 早川 登
早いもので、東日本大震災から12年の月日が流れました。
12年目なのに十三回忌?と思われた方、仏教は12年目で十三回忌に当たるのです。
ちなみに、故人が亡くなられて2年目が三回忌です。
大震災からの十三回忌という事もあって、各地では様々な追悼行事が行われるようです。
福島の被災地では、曹洞宗福島県青年会が県内の海岸線を行脚しながら犠牲者を慰霊する「福島浜街道 絆の道」が行われました。
いわき市から新地町の約140kmの長行程。
各地の慰霊碑や海岸で読経しながら、3月11日までに踏破するというものです。
かつて、私は『原発最前線の葬儀社』というコラムを書かせて頂きました。
(ぶつだんやさんコラムのリンクはこちら→ https://butsudanyasan.net/column/781/)
その時は入社してすぐに震災を経験し、原発からそう遠くなかった弊社が『原発最前線の葬儀社』となったエピソードをふりかえって書かせて頂いたのですが、十三回忌を迎える今年、また違う思いがあります。
かつて小学生の時に被災した子供たちが、学校を卒業し、うちの職場で働くようになった事です。
こちらからはあまり震災の記憶に触れないようにしていましたが、最近、ふとした事で震災当時の事を話す機会がありました。
ご家族を津波で亡くされた事、震災当時着のみ着のままで避難した事、その後の生活の苦労など、新人の社員から話を聞く事ができました。
震災当時の子供たちが、今大人になり、この会社へ入って一緒に仕事をする日がくるとは…
子供たちの目線で、震災の記憶を聞かされると、子供たちなりの苦労もあったんだなと複雑な気持ちになります。
大人でさえ、原発に対してどうしていいか分からず意見や行動もバラバラで何を信じていいか分からない状況。
そんな大人達の様子を見た子供たちがどう感じていたのかずっとひっかかっていました。
だけど子供たちは、こちらが思っている以上に、しっかりと成長し、自分の考えをもっているのだなと思うと、感慨深いです。
葬儀屋として、今の被災経験のある新人の子たちと共に、大震災で犠牲になった方々をこれからも忘れないよう、追悼していこう。
東日本大震災から十三回忌を迎えた『原発最前線』の葬儀屋さんはそう思うのでした。