ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2021年4月30日

最強の明王「不動明王」

  • 株式会社ぶつだんのもり
  • もくりんくん
最強の不動明王

不動明王について、過去に記事を書かせていただきました。(お不動さんってどんな仏様?▶

今回、さらに詳しく不動明王についてお伝えできたらと思います。

 

明王とは

仏格不動明王は、知恵から生まれた真実の言葉をもつといわれる明王です。

明王とは、如来・菩薩に次ぐ仏格をもった仏様で、密教特有の尊格です。

「明」の字は、「神秘的な力を持つ言葉」という意味があり、その力である「真言」を身につけた者の王が明王なのです。

基本的に明王は恐ろしい憤怒の形相で、手には武器を持っています。それは、仏法を悪から護り、退治するといった任務を任されているからであり、時には仏の教えを聞かない者を力づくででも導くこともあるのだそうです。

その背には煩悩を焼き尽くす燃えさかる火炎を纏い、手にした武器は未練を断ち切ります。

 

五大明王

五大明王不動明王は明王のなかでも特に強い力を持つ五大明王の一角です。さらには、その五大明王のなかでも中心に位置し、最強の力を持つと言われています。

五大明王は中心に不動明王を配し、東に降三世明王(ごうざんぜみょうおう)、南に軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)、西に大威徳明王(だいいとくみょうおう)、北に金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)を置き、古くから信仰の対象として親しまれてきました。

 

不動明王とは

不動明王は密教の根本尊(こんぽんそん)である大日如来の化身であるとされています。大日如来が救済し難い衆生(しゅじょう =あらゆる生物)をなんとしても救うために恐ろしい姿となり、力をもってして無理矢理にでも仏道に導き救済する姿だと言われます。

また、死者を弔う十三仏として、初七日に現れてまず亡者の未練を断ち切る役割を担っています。

 

不動明王の様々な別名

不動明王には様々な別名があります。「大日大聖不動明王(だいにちだいしょうふどうみょうおう)」「無動明王(むどうみょうおう)」「無動尊(むどうそん)」「不動尊(ふどうそん)」等々…。

また、日本では親しみを込めて「お不動さん」と呼ばれたりしていますね。

 

不動明王の真言

不動明王には3つの真言があります。先にも述べましたように、明王は特に真言の威力を体現する仏様だと言われています。

小咒(しょうしゅ):一字咒(いちじしゅ)

最も一般的な真言が小咒、一字咒と呼ばれるものです。

「のうまく さんまんだ ばざらだん かん」

心咒(しんしゅ):慈救咒(じくじゅ)

少し長めの真言です。

「のうまく さんまんだ ばざらだん せんだんまかろしゃだ そわたや うんたらた かんまん」

大咒(だいしゅ):火界咒(かかいしゅ)

最も長い真言です。

「のうまく さらば たたぎゃていびゃく さらば ぼっけいびゃく さらば たたらた せんだまかろしゃだ けんぎゃき ぎゃき さらば びきなん うんたらた かんまん。」

 

不動明王の姿

不動明王_顔明王は顔や手の数が複数ある超人的な姿の場合が多いのですが、不動明王は基本的にはひとつの顔に2本の手です。

その顔には色々なバリエーションがあり、特徴的なのは目の向きで、普通に両目ともまっすぐ向いている像もあるのですが、左右の目の形や向きが違うものも多くあります。これは「天地眼(てんちがん)」といって、右目を見開いて左目をすがめていたり、右目で天をにらみ、左目で地をにらんだりしています。天地眼は、見開いた目で善を保ちつつ、すがめた目で災いを退けるといったまさに明王の役割を表したような意味があったり、天と地の両方を同時に見ることにより全てを見通しているという意味があったりします。

また、牙の向きも「牙上下出(がじょうげしゅつ)」といって、右の牙が上を向き、左の牙は下を向いている像もよく見られます。両方とも下向きや両方とも上向きの像も見られます。

さらに、「迦楼羅焔(かるらえん)」という煩悩を焼き尽くす炎を光背としています。

また、立像・坐像ともに見られます。

 

不動明王の持ち物

不動明王の持物不動明王は手の数は2本なので、他の明王と比べれば持ち物は少ないです。

右手に降魔の三鈷剣(ごうまのさんこけん)を持ち、左手に羂索(けんさく/けんじゃく)を握りしめている姿が基本です。

降魔の三鈷剣は、魔を退散させ、人々の煩悩や因縁、この世への未練を断ち切るといわれる三鈷杵(さんこしょ)の中央の1本が長く伸びて剣のようになっている法具です。

羂索は縄状の法具で、片方の端には環が付き、もう片方の端には独鈷杵(とっこしょ)の半分が付いています。羂索は悪を縛り上げたり、煩悩から抜け出せない人々を縛って吊り上げてでも救い出すといった明王を体現するような法具です。

 

不動明王のご利益

不動明王は平安時代には国家鎮護のご利益があるとして崇められていました。その他にも疫病退散や安全祈願等のご利益があるとされています。

 

不動明王の縁日

毎月28日は不動明王の縁日です。縁日は御本尊様とより深く縁を結べる日とされ、お参りをすると普段以上のご利益がいただけると言われています。特に年初の28日は「初不動」と呼ばれ、参拝客で賑わいます。

ぜひ縁日に参拝して、お不動さんと縁を結んでご利益をいただきましょう。