ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2020年5月20日
オンライン葬儀
- お仏壇と墓石の太田屋
- 太田博久(代表取締役)
お葬式をオンラインで中継するなんて、違和感あるな…。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、お葬式が急激に形を変えています。かけがえのない故人様と親しかった方々、ご親族でさえもご遠方からお越しいただくわけにいかないケースが増え、その対応策として、お葬式を中継する「オンライン葬儀」を取り入れる葬儀社が出始めています。
ご葬儀、お仏壇、お墓。葬送や供養に携わる仕事を長年してきた者として、お葬式の映像を中継で見てもらうことに、どうしても抵抗感を持ちました。お葬式はご遺族やご縁のあった方々にとって、それぞれの悲しみや思いを共有する大切な場。だからこそ、お互いに会って言葉を交わし、同じ場所で時間を共有することに意味があると強く信じている私には、オンラインという間接的な方法では不十分だという思いを拭えませんでした。
しかし最近、ご親族でさえ参列したくてもできない状況の中で、ご遺族ご自身がスマホでお通夜やお葬式の映像を送られる姿に実際に触れると、私自身の考えを改めざるを得ませんでした。たとえ同じ場所と時間を共に過ごし悲しみを分かち合えなくても、参列できないために悔いを残す方々を少しでも減らすために力を尽くさなけれなならない、改めてそう思い直しました。
そういえば、以前に同じような思いを抱いたことがあります。大きく普及はしませんでしたが、一時的に話題になった「ネットでお墓参り」を知ったときです。調べてみると、ネット上にゲーム画像のようなお墓があり、画面操作でお花を手向けお参りするというものでした。確認した瞬間に「こんなものはお墓参りではない」と否定する気持ちが湧きました。でも、よく考えてみると、そうまでしてお墓参りをしたいと考える方々は、実はお墓参りを大切に思うからなのではないか…。医者の不養生、紺屋の白袴。お盆時期の仕事の忙しさにかまけ、ついお墓参りを後回しにしてしまう自分よりも、よほど大切にしている方々かもしれない…と。
現在の異常事態を克服するには、これまでの経験や常識、自身の先入観を取り払って行動しなければならない。頭ではそう思ってはいましたが、実際には難しいことを改めて感じています。いま闘わなければならない相手は、やはり自分自身でした。
弊社もここで「オンライン葬儀」ができる態勢を整えました。決して十分ではないかもしれませんが、参列が叶わない方々や、そのことを苦に思われる喪主様ご遺族様のお気持ちに少しでもお応えできるように取り組んでいきたいと思います。