ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2020年4月7日
あれも?これも?仏教語?「魔(マーラ)の巻」
- お仏壇と墓石の太田屋
- 太田博久(代表取締役)
悪魔・魔物・魔王・魔窟…。
「魔」という漢字を使った単語には、いかにも悪そうで、おどろおどろしい雰囲気があります。しかも、自分の外側から害を与えてくる悪者というイメージです。
私が読んでいる業界紙によると、実はこの「魔」は仏教語なのだそうです。サンスクリット語で「マーラ」といい、殺すものや命を奪うもの、悟りの障害という意味を表しています。お釈迦様が悟りを開く寸前、「マーラ」が様々な誘惑や攻撃を仕掛けてきて、お釈迦様を悩ませました。そのときお釈迦様は、この「マーラ」は自分の外側からやって来るものではなく、元々は自分の内部、心の中にある煩悩から現れたものだと気づかれたそうです。
このままの修行を続けていいものだろうか?
私は精神の安定を得られることができるのだろうか?
僭越ながら、きっとお釈迦様も私と同じ人間。厳しい修行の最中に、多くの不安・迷いに悩まされたことでしょう。その自分に不安や迷いをもたらす心(煩悩)こそが「マーラ」と表現されるものなのだと思います。「マーラ」は決して自分の外にあるのではなく、自分自身の心の中にこそある…お釈迦様はそう自己を見つめ、向き合い、なぜ「マーラ」が生まれるのかを突き止めた。それが悟りを開くことにつながりました。
「魔(マーラ)」という言葉に代表されるように、常に自分の内面と向き合う(内観)ことを重視するのが仏教のあり方なのですね。