ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2020年3月11日
東日本大震災 石巻の地から
- 株式会社 ほこだて仏光堂
- 石巻店 阿部
2011年3月11日
石巻地域は朝から雪がちらつき、
とても寒い日だった事を覚えています。
おびただしい量の黒く濁った津波が押し寄せ、
基地局がやられた為、固定電話も使えず
携帯も不通、停電によりTV等も見れず、
目の前のとてつもない惨状に
「なんだこれ・・・」と呟くことしかできませんでした。
様々な場所が緊急の避難所になりましたが
お寺や神社は高台にある事が珍しくない為、
臨時の避難所になっている所が沢山ありました。
災害直後の行政の支援が届かない間、
檀家、非檀家分け隔てなく、避難された方を暖かく迎え
備蓄品やお供えの食物を分け合って食べたり、
時には、古くなり回収していたお塔婆を燃やして暖を取ったり
被災者の拠り所として奮闘されたお寺や神社も多かったと聞きます。
石巻地域に洞源院という古刹(歴史あるお寺)があります。
一時400人を超える被災者の避難所となり、
朝晩のお勤めの読経の際には被災者の方が一人また一人と
読経に参加し、ついには全員でお勤めを行うのが当たり前になったりと
多くの方の心の拠り所にもなりました。
その後、被災地の現状を憂い、若い人が安心して子供を預けられる場所がないと
街から人が居なくなってしまうと考えたご住職様は
借金をしてまで保育園を2校設立し、地域の一助となろうと奮闘したそうです。
また親戚がお世話になっているご住職様に
「避難所になった時は色々な人がいたから大変だったんじゃないですか?」と
質問をしたことがあります。
ご住職様は笑いながらこんな事を仰っていました。
「駆け込み寺っていう位だからね。困ったら誰だって頼ってくれていいのさ。」
昨今異常気象が多発しており、災害はいつどこで起こるかわかりません。
地域の公的な避難所を把握する事も勿論重要ですが、
この機会にご家族と身近な地域の神社やお寺にお参りがてら
足を延ばしてみるのもよいのではないでしょうか?
遠くの避難所より近くの高台。有事の際に救われる事もあるかもしれません。