ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2020年2月20日

通夜見舞い

  • お仏壇と墓石の太田屋
  • 太田博久(代表取締役)

都市圏では、葬儀・告別式ではなく、お通夜にお香典を持参してお焼香に訪れる方(一般弔問)が多いと聞きます。

信州では通常、お通夜は近親者を中心に行われ、一般弔問の方はお通夜ではなく、葬儀・告別式へお焼香に伺います。

お通夜に伺う際に持参するのが「通夜見舞い」です。通夜式に出席する親しい方々は、お通夜に「お見舞い」を、葬儀・告別式には「お香典」を別に持参します。

通夜式で僧侶が称える枕経(まくらぎょう)は、亡くなっていく方が仏弟子となって往生できるようご家族も一緒に読経するもので、ご自宅で亡くなる方が多かった時代には、危篤を知らされた親族が集まり、僧侶を呼んで枕元で称えたそうです。つまり、危篤から臨終までの間に、まだ明確に亡くなった認識ではない状態で行われる儀式だったようです。そのため、急な知らせで喪服ではなく平服で「お見舞い」に駆け付ける、という感覚だったものと思われます。(浄土真宗では、亡くなるとすぐに極楽浄土に召されるとの教えで、またお経は私たちが教えを受けるものとされ、臨終勤行となります。)

少し前までは、信州のお通夜は平服で、病気見舞いと同様の「赤べり」のお見舞いを持参するのが通常でした。しかし最近は、ご自宅以外でのお通夜が増えたこともあり、喪服で参列される方が増えています。また、お見舞いを「赤べり」で持参すると不謹慎だと捉える方も増えたため、写真のような「赤べりなし」や「黒白」の袋で差し上げるようになってきています。

お通夜のお見舞いは元々「赤べり」でした。

 

お通夜は、ご遺族が「医学的な死」の段階から、「心理的な死」を受け入れるまでの時間だともされています。ご遺族が故人の傍らで、夜通しお線香の火を絶やさずに過ごしていたのには、その意味が含まれていたのかもしれません。

時代と共にお通夜の形も変化していますが、元々なされていた形の意味を知ることも大切かと思います。