ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2020年1月24日
針供養、はりせんぼん、針歳暮
- 株式会社 ほこだて仏光堂
- 石巻店 阿部
毎年2月8日の事始め、または12月8日の事納めに
今年一年お世話になった、折れたり曲がったりして使えなくなった
お裁縫の縫い針を労い、お豆腐やこんにゃくに刺す針供養が行われています。
(地域により日付が異なります)
元々は中国の古い風習で針仕事をお休みする日として
伝わっているのですが、由来や伝承などは地域によって本当に様々。
東北地方や北陸の一部地域では
・昔々姑に針山の針を盗んだ無実の罪をきせされて
海に身を投げて死んだ嫁の供養の為に針供養が始まったという伝承がある。
長野県の一部地域では
・針を豆腐に刺して神棚に上げたり、縁の下に投げ入れる供養が
行われている。
富山県や石川県の一部地域では
・お嫁さんや娘さんの幸せを願い大きな大福餅を嫁ぎ先へ届ける
【針歳暮】(はりせいぼう、はりせんぼん)が行われており、
それを受け取った嫁ぎ先では、親戚や近所に配る風習がある。
(お菓子屋さんにはそれ用のセットが販売されています。)
・姑と仲が悪かった嫁が海に身を投げたら嫁の魂がハリセンボンと
いう魚になり、命日が近づくと海が荒れハリセンボンが沢山
打ち上げられ、その様子を見に来た姑の顔に食いついた。
京都の一部地域では
・竜宮城の乙姫様の針を盗んだフグが、罰として
体から無数の針が突き出してきたハリセンボンの姿になった。
福岡県の一部地域では
・海に打ち上げられたハリセンボンを探し尾を糸でくくって
門口に吊るして悪魔除け、流行り病除けとして使う。
新潟県佐渡の一部地域では
・ハリセンボ団子を作って家の外に供え、子供が橋を渡らずに
七件の家を回ってこの団子を食べると裁縫が上手になる
という言い伝えがある。
島根県の一部地域では
・針供養の前日に小豆餡をいれた団子を作って針を刺して
針箱の上に供え、翌日川へ流す風習がある。
元々の縫い針の供養の他に【嫁】【姑】【海に身を投げる】【ハリセンボン】等
全国津々浦々の伝承に同じようなキーワードが入っているのがとても興味深いですね。
それだけ嫁姑問題というのは昔から大きい問題だったという事なのでしょうか。
その中でも【針歳暮】という皆が仲良くなれるような風習は
とても素晴らしいなと思う次第です。