「店の前を毎日通勤していたのに、ここに店があるなんて知らなかったよ！」

私が店舗で接客していた時、お客様にそう言われました。ご家族を亡くされたことをキッカケに、お仏壇をお求めにご来店された方でした。

車で往復していた通勤路。きっと毎日視野の中にあった風景のはずなのに、それが仏壇店だとは全く意識なさることがなかったのでしょう。ですが、ご家族を亡くされ、お仏壇を意識なさった途端に「仏壇店」として目の前に現れた…そんな驚きが伝わってきました。

そういえば、妻と付き合い始めた頃にも同じようなことを言われました。「葬儀や仏壇やお墓の看板って、世の中にこんなにあったんだね…知らなかった」と。私と付き合うようになって、どうやら急に、妻の脳が葬儀や仏壇や墓石というジャンルに反応し始めた様子でした。

仏壇店に生まれ育った私たちは、物心ついた時から意識しているもの。でも、そうでない方々には、普段はなかなか意識されていないもの。

お仏壇に手を合わせる暮らし、その価値を子ども達の未来にも伝えていきたい。そんな思いでデッカい看板を作り、一生懸命に宣伝しているつもりの私たちにとって、この事実はとても深~い悩みなのです。