ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2019年7月16日

この仏具を見よ! 好物シリーズ編

この仏具を見よ! 好物シリーズ編

仏具の世界も、日進月歩。外から見ると旧態依然のようですが、仏壇は生活の中にあるものだけに、時代が変われば、その時代に合わせた変化は当然起こります。また、昔の技術では出来なかったことが、今の技術で可能になり、より故人を偲ぶ事ができる仏具が生まれたりもします。

今回は、神仏用のローソク国内売り上げトップの、カメヤマの製品から、ちょっと面白いアイテムをご紹介します。ローソクや線香の世界も、新しく面白い製品が色々と登場しています。

好物キャンドル(故人の好物シリーズ)

カメヤマの「好物キャンドル」は、その名の通り、故人の好物の形をしたローソクです。それぞれの好みに合わせて、ビックリするほど沢山の種類が用意されているのが圧巻のシリーズ。例えば、お団子やおはぎといった、お供え物のイメージのものがローソクになっています。凄いのは、それがお団子をイメージしたローソクというのではなく、もう、お団子ならお団子、おはぎならおはぎそのもののような、ここまでリアルに作る意味はあるのだろうかというくらいに、リアルに作られていることです。その完成度は、火をつけるのが憚られるほど。

それだけではありません。好物というくらいで、そんなお供え物イメージのものだけで済むはずがありません。例えば、ステーキやうな重、お寿司なんてものもあります。もちろん、それぞれに異常にリアルです。ステーキなんて、リアル過ぎて、ローソクの火が灯っている姿の方がかえって不自然に見えるほど。お寿司に至っては、ウニ・大トロ(サビ入)とか、エビ・ハマチ(サビ入)とか、助六寿司キャンドル(ガリ付)など、細分化されて商品化されています。

 

他にも、カップヌードル、アイスコーヒー、ワンカップ大関など、こんなのまであるのか、という製品が揃っています。個人的なオススメは、井村屋あずきバーのキャンドル。ここまでピンポイントの商品までリアルにローソクにしてしまうという、そのマニアックな心意気がたまりません。

Ⓒ imuraya

 

コラボ・好物線香(故人の好物シリーズ)

好物キャンドルがあれば、もちろん、好物線香もあります。しかも、こちらは、人気商品とのコラボレーションです。例えば、懐かしいボンタンアメが、あのパッケージのままお線香の箱になっています。お線香自体も、柑橘系の香りでボンタンアメが思い出されます。ミニサイズなので、小型の仏壇でも使える実用性の高さも魅力。

Ⓒセイカ食品

 

他にも、濃厚な白桃の香りの不二家ネクター、いちご・りんご・オレンジ・メロンの4種類の香りのサクマドロップス、クローブ、シナモン、セージなどの本格的なスパイスを配合し、その奥には白檀の香りも感じられるカレーの香りなどなど、懐かしいパッケージと本格的な香りの両方で楽しめるラインアップが並びます。ここまで来ると、もう仏壇にだけ使うのはもったいないほどです。

©2017 FUJIYA CO.,LTD. / © SAKUMA

 

面白いアイディアの製品も良いのですが、その一方で、別の観点から面白いと思ったのが渦巻き型のお線香。亡くなった日から初七日までの7日間、お線香を絶やさないために開発されたという製品です。蚊取り線香のように、渦巻きの形であれば、当然、お線香の長さは長くなり、その分、長時間焚けるという合理的なアイディアと、それを蚊取り線香に見せない、吊り下げ型にしたアイディアが見事です。

この、合理性一本やりではなく、あくまでも仏具としてのデザインの中に収めるという方向は、商品デザインとしてとても優れていると思うのです。しかも、結果的に、それがモダンデザインとして仕上がっているのです。故人の好物シリーズも含め、こういう伝統とノスタルジーと機能と現代性が融合する製品が、仏具の世界にもあるということを知っていただけたらと思います。