ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2019年7月11日

仏壇は大切な故人との語らいの場

仏壇は大切な故人との語らいの場

仏教との関係が希薄になっている現在、仏壇は失った大切な方との語らいの場としての必要性が大きくなっています。「大切な人ともう会えない」という事実を受け入れるのがグリーフケア(悲しみから立ち直る為の支援)の第一歩です。

大切な故人を偲び、亡くなった人と語らう場、悲しみをいやす場所があるというのは、現代でも変わらず、生きている人々にとってなくてはならないものでしょう。そのとても重要な役割を仏壇が担ってきたわけです。だからこそ、各家庭に仏壇が置かれ続けたのだと思います。

家にお仏壇がなかった方がはじめてお仏壇を購入されるきっかけは、ほとんどの場合、ご家族が亡くなられたことによるものです。
亡くなられた夫や妻、祖父母や父母を偲び、冥福を祈り、供養するためにお仏壇を求めるのです。だから、仏教徒の証としての仏壇の必然性が薄くなった明治以降も、仏壇は各家庭に置かれ続けました。その頃から既に仏壇の役割は“仏を祀る”というよりは、“先祖を偲ぶ”部分に比重が傾いていたのかもしれません。

亡き人を偲び、一家の無事を祈る場所として、仏壇は生活の中にあり続けました。特に、大切な人を亡くしたときのショックから立ち直るために、亡き人と向き合う場所としての仏壇は大きな役割を果たしたことでしょう。心がザワザワするとき、涙があふれるときに、小さくても日常の中に手を合わせられる祈りの空間があれば、心も落ち着くのではないでしょうか。

新たに仏壇を置くには、場所も必要ですし、法要も必要です。もちろん、それなりに費用もかかります。なので、お客様は皆様、色々と悩まれるし、お考えになることも多く、決断までに時間がかかることも珍しくありません。じっくりと考えて、ゆっくりと選んで頂くことを、私どもとしてもお勧めします。その結果、やっぱり仏壇は必要ないとご判断されるのも良いと思います。

ただ、仏壇の購入を決意され、実際に仏壇のある生活を始められたお客様からは、一度も、「お仏壇を置かなければよかった」というようなことを聞いたことはありません。生活の中に仏壇があることによる心の平穏は、仏壇を置かなければならないのか、といった決まりごとではなく、個人の胸の中にある「思い」によって得られるものだと思うのです。