ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2021年11月7日
お仏壇の設置場所について
- (株)佐倉幸保商店
- 佐倉浩徳(代表取締役社長)
『お仏壇は、どこに置くのが良いのか?』という質問は、お客様からよくご相談いただく内容の一つです。
大切なモノだからこそ故人やご先祖様に対して失礼にあたらないかと心配されている方が多くいらっしゃいます。
今回は『お仏壇の設置場所』についてお話いたします。
まず、はじめに
お仏壇が一般の家庭へと広まっていったのは江戸時代のことです。現在では、その頃の生活とは大きく変わり、住宅事情や家庭環境も変わっていきました。それでもお仏壇というものが絶えず祀られ続けているのは、その時代にあった形式に変化しつつ守られ続けてきたからです。設置する場所は特に、住宅事情の大きな変化と共に変わってきました。書物なので確認してみても、場所が決まっているということは記されておりません。まずは設置に向かない場所を確認し、そこを避けて置き場所を決めて頂くのが良いかと思います。
設置に不向きな場所とは?
・直射日光が当たる場所
・湿気の多い場所
・エアコンの風が直接当たる場所
仏壇の主な材料は木材です。直射日光のあたる場所は、変色や乾燥を引き起こし、ヒビや反りなどの原因になります。また湿気が多い場所では、カビや反りなどの原因となります。乾燥させてしまうという意味では、エアコンの風が直接当たるような場所も避けて下さい。
上記のような適さない場所を避けて置いて頂けたら設置場所としては問題ありません。ご家族が手を合わせやすい場所にお祀りしていただくのが一番良いかと思います。
和室・リビング・寝室・家具の上など色々な場所へお祀りしていただけます。
お祀りする際のポイント
コンセントが近くにある場所を選んで頂くと良いです。ほとんどのお仏壇が仏壇内に灯りが点けられるようになっているか、別に提灯を吊り下げ灯りを点けるようになっています。そのためプラグの差込口が近くにあると配線が邪魔にならずスッキリとお祀りいただけます。
法事の際には、ご住職の後ろに親族が囲むように座ることになりますので、そのスペースの確保が必要となります。家具などを動かして対応できるのであれば大丈夫です。
最近では『床の間にお仏壇は置いても良いのですか?』と聞かれることも増えてきました。諸説ありますが、床の間の起源は今で言う仏壇として使われていたという、いわれもございますので、床の間にお仏壇を置いて頂くことに問題はありません。地域性で置かない所もあるそうですが、いくつかの宗派の本山に問い合わせたところ『問題ありません』と回答を頂きました。そもそも床の間は風通しが良く、直射日光を避け湿気に強い場所に設計されていますので、お仏壇をお祀りする環境として最適な場所なのです。
注意点として、床の間のサイズにはきまりがありません。家ごとに多様なサイズがあります。床の間の一段高くなっているところの奥行きが浅すぎるとお仏壇を置くことができないので、採寸をしてからお仏壇選びをするようにしてください。
お仏壇の向きや方角について
最後に、お仏壇を設置する方角も気にされるところです。「北向きは縁起が悪いので避けた方がいい」と言われた経験はありませんか。お仏壇でいう北向きとは、手を合わせる正面が北向きで背の部分が南向きの場合という意味です。
しかし実際のところは方角に決まりはございません。北向きが縁起が悪いといういわれは、お釈迦様が入滅する際に、北に頭を向けお顔を浄土のある西側を向けられたということからです。そのため縁起の悪いことではないのです。また、日本では古来より八百万の神(やおよろずのかみ)がいると信じられ、あらゆるところ(方角も含め)に神がいると信じられてきました。また仏教では十方諸仏(じっぽうしょぶつ)という考えがあり、あらゆる方角に仏様がいらっしゃいますので、基本的にはどの向きに置いて頂いても構いません。
また日当たりのいい部屋を設置場所に選ばれる場合は方角に関係なく直射日光が当たることがありますので遮光カーテンやブラインドで防いで頂けると安心してお祀り頂けます。
住宅事情は年々変化し続けています。家庭の事情によってもお祀りの仕方は変化していきます。それでも故人やご先祖様を思い、お祀りし続けることは大切なことだと思います。
そんな皆様の『思い』のお手伝いになれば幸いです。