ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2021年9月12日

お彼岸について

  • (株)佐倉幸保商店
  • 佐倉浩徳(代表取締役社長)

涼しい日が増え、いよいよ秋らしくなってまいりました。

秋と言えば、スポーツや読書、はたまた食欲の秋などと言われていますが、もう一つ私たちにとって大切な日と言えば『秋のお彼岸』です。

 

暮らしの中に根付いている「お彼岸」ですが、何の日かと言われれば、“お墓参りをする日”、“ぼた餅を供える日”という、なんとなくのイメージしか思い浮かばない方が多いのではないでしょうか。それはもちろん正解ではあるのですが、、、秋のお彼岸が近くなって参りましたので、今回はお彼岸についてお話ししようと思います。

 

お彼岸は年に2回、春と秋にあります。『春分の日』『秋分の日』それぞれを挟む前後3日間の計7日間を言います。

『春分の日』『秋分の日』は共に国民の祝日で、太陽が真東から真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じとなる日です。天文観測で定められるため、1日程度ずれることがありますが、秋分の日であれば9月22日か23日のいずれかの日となります。

 

では、お彼岸という名前の由来はいったい何なのでしょうか。

彼岸とは、元々は仏教の言葉です。

煩悩に満ちた現世(この世)である『此岸(しがん)』に対し、修行を積み煩悩を脱した悟りの境地を『彼岸(ひがん)』と呼びます。

しかし、私たちがよく知る『お彼岸』の意味とは異なります。
私たちの知るお彼岸は、お彼岸の期間中に行われる法要『彼岸会(ひがんえ)』を指しているものと言えます。

『彼岸会』は、約1200年前の平安時代から始まりました。
当時は、阿弥陀仏の極楽浄土に往生し成仏する『浄土思想』が盛んでした。『西方極楽浄土(さいほうごくらくじょうど)』といって、極楽浄土は西方十万億仏国土を過ぎたところにあると説かれています。この時期の真西に沈みゆく太陽は、極楽浄土を指し、その彼方にある『浄土』を思い描く瞑想のような修行が盛んに行われていました。
この修行により極楽浄土へと行けるとされており、お寺ではこの時期の法要(彼岸会)をしっかりと行うようになりました。

 

またお彼岸はあの世とこの世が一番近くなる日だとも言われています。あの世とこの世は三途の川で隔たれていますが、真東から登って真西に沈む太陽によって一直線に結ばれ、その距離は最も短くなると言われています。

また、お彼岸の期間にお墓参りに出かける風習は日本だけのものです。
古来より日本は、太陽信仰や、自然や先祖崇拝という信仰がありました。そのため、太陽が真東から登り真西に沈むことを特別なものと感じたのではないでしょうか。元々農耕民族である日本人は、春の芽吹きの時期には一年の豊作を願い、実りの秋には収穫を“太陽とご先祖様”に感謝してきました。その風習と西方浄土の仏教の考えが合わさり、お彼岸は今も続く大切な日本特有の文化となりました。
そして、昭和23年には『先祖をうやまい、なくなった人々をしのぶ』日として、国民の祝日とされました。

 

ご先祖様を大切に思う日本人の文化が現在も脈々と受け継がれているお彼岸。あの世とこの世が最も近くなるというのは、大切な人たちとの距離が最も近くなるということですよね。

今年の秋のお彼岸は9/20(月)~9/26(日)の7日間です。

お墓参りに出かけたり、ご先祖様に思いを馳せ、感謝する気持ちを少しでも届けたいですね。