ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2021年6月25日
お墓の正面に彫る文字について
- 株式会社ぶつだんのもり
- もくりんくん
お墓を建てる際には様々な文字を彫刻します。
彫る文字は、宗派やお寺の考え方、お墓の種類によっても変わってきます。
今回は墓石に彫る文字の中でも最も重要ともいえる、正面に彫る文字についてをお話したいと思います。
棹石の正面に彫る文字
一般的な位牌型のお墓の一番上の細長い部分を棹石(さおいし)といい、この部分には必ず文字を彫ります。
棹石の正面には大きく文字を彫るのが一般的です。
◯◯家之墓
和墓で最もよく彫られる文字は 【◯◯家之墓】 かと思います。
◯◯家先祖代々・先祖代々之墓
様々な宗派で彫られる文字です。これらの文字の前に宗派によって、阿弥陀如来を表す【キリーク】、大日如来を表す【ア】といった梵字や、円相【◯】を彫ったり、【妙法】の文字を彫ったりします。
南無阿弥陀佛
【南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)】とは浄土真宗・浄土宗・天台宗で彫られる文字です。阿弥陀仏に帰依(きえ =拠り所にするという意味)することを表した言葉です。
南無妙法蓮華経
日蓮宗では【南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)】と、ひげ文字と呼ばれる独特な書体で刻まれることが多いです。妙法蓮華経とは法華経の正式名で、この大乗仏教の重要な経典である法華経に帰依しますということを表した言葉です。
南無釈迦牟尼佛
臨済宗、曹洞宗は、本尊である「釈迦牟尼仏=お釈迦さま」に帰依するという意味の【南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)】という言葉を彫ることがあります。
倶會一處
【倶會一處=倶会一処(くえいっしょ)】とは浄土真宗のお墓に刻まれることがある言葉で、この世の命が終わると仏となって、菩薩と同じ浄土に生まれ出会うことが出来るという意味を持ちます。
洋風のお墓の場合
洋風のお墓の棹石の正面に彫る文字は、本当に自由にお好みの文字を彫る方が多いかと思います。
当社で洋風のお墓によく彫られる人気の文字は、
【◯◯家】 【ありがとう】 【やすらかに】 【想】 【祈】 【絆】 【偲】 【和】
日本語ではなく英語を入れられる方もいらっしゃいます。
文字と一緒に装飾として花の彫刻を入れられる方も多いです。
文字の彫り方
文字の彫り方にも色々あります。名称は地域によって異なります。
彫り込み
文字部分を深く彫り込む方法です。文字の中に影が出来ますので、塗料などで色を付けなくても文字が見えやすいという特徴があります。
なかでも、「庵治文字」という石材に彫るために工夫された書体を使い、太い部分を深く、細い部分は浅く、内側に丸く彫るというやり方があり、その彫刻方法は影に奥行きを付けて文字を立体的に見せる事ができます。
筋彫り・線彫り
輪郭だけを彫り込む方法です。装飾等の彫刻ではよく使われますが、正面の文字にはあまり使用されません。
霞彫り・平彫り・二段彫り・関東彫り
文字の輪郭だけを少し深めに彫って、内側は磨きを落とす程度に浅くサンドブラストをする方法です。文字を彫り込まないので、中に雨水や汚れなどが溜まったりしないというメリットがあります。また、「彫り込み」と比べますと、文字の角が欠けたりせずに自由な書体が使用できます。
ただし、濃い色の石は大丈夫ですが、薄い色の石では文字が見えにくいかもしれません。また、水に濡れても見にくくなります。
磨き落とし・つや消し彫り
サンドブラストで石材の磨きを落とす程度に浅く彫る方法です。輪郭を彫り込んでいない分「霞彫り」よりもさらに薄い色目の石では見えにくいので、棹石の正面の文字に使われることは少ないですが、彫れるデザインの自由度が高いので、デザイン墓の装飾にはよく使用されます。
浮かし彫り
文字の周りを彫り込んで文字の部分を凸状にする方法です。この彫刻方法を正面に使用される場合は、棹石正面は彫り込みで何らかの文字を彫り、別の部分に表札のように【◯◯家】というように彫られる事が多いかと思います。
表札のように使用されることが多い彫り方のため、墓誌の表題部分にも使用されます。
また、文字以外では家紋の彫刻には浮かし彫りを使用することが多いです。
色を入れる
文字を見やすくする、目立たせる為に、文字部分を塗料で着色することもあります。白目の石には黒や紺等の濃い色を、黒や緑等の石には白い色の塗料がよく使われます。金色やピンク色を入れることもあります。
墓石は常に風雨にさらされますので、年月が経つと塗料が剥げてくる可能性はあります。とはいえ、たとえ塗料が剥げてきましても、色を入れ直す事はそれほど難しいことではありません。