ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2021年5月9日
お仏壇に写真
- (株)佐倉幸保商店
- 佐倉浩徳(代表取締役社長)
お客様から『お仏壇の中に写真をいれても良いですか?』というご質問が多く寄せられます。
大切な方のお写真を飾りたい。でも仏教の教えとしてそれが良いことなのかわからないと不安に思っている方が多いです。
同じ仏教でも、宗派や地域、菩提寺の考え方によって違いがありますが、基本的に写真は仏壇の中には飾らないとされています。
まず浄土真宗では、仏壇は仏様(仏像や掛け軸の阿弥陀如来)がいらっしゃる場所であり、故人はすでに成仏されて仏壇の中にいないと考えられています。そのため手を合わせる対象は仏様であり、仏壇に写真を飾ることはよくないこととされています。
その他の宗派では、仏様以外に故人の魂の拠り所であるお位牌をお祀りしていますが、それらが手を合わせる対象であって、生前のお写真は対象ではないとされているため一般的には仏壇の中には飾りません。
お仏壇が一般家庭に広まったのは江戸時代からです。その頃から基本的なお祀りの仕方が定着していきました。もちろんその時代に写真というものはなく、写真が手軽に撮れるようになったのもこの数十年のこと。何百年も前から続く仏壇にとって写真は新しすぎる文化なのです。
ですが、私がお客様から尋ねられた際には「日常的にご家族がお写真を飾ることで、手を合わせやすいならお祀りください。その代わりに、お寺様がいらっしゃる大切な法事の時には仏教の教えに沿ったお祀りで供養されてください」とお伝えします。
それでも不安な方は、一度菩提寺様に聞いていただくことが一番安心だと思います。
お仏壇の中に写真を飾るときには大きい写真は避けて下さい。ご本尊や位牌を隠してしまわぬよう、小さめのお写真をお飾りください。最上段の真ん中に鎮座されているご本尊様(仏像や掛け軸)は、故人だけではなく、生活されているご家族皆様のことを見守っていらっしゃいます。視界を遮らないように写真は一番下の段の真ん中を避けた、左右どちらかに寄せて飾っていただくとよろしいかと思います。
また、仏壇の中には入れられなくても近くに写真を飾っておけば、仏壇に手を合わせた時に一緒に手を合わせることができます。写真と一緒にお花を飾ったり、故人の思い出の詰まった品と一緒に飾って、仏壇とは別の祈りのスペースを作られるのも良いかと思います。
ちなみに遺影に使われた写真などは、四十九日の法要が済んだ後に仏壇が置かれる部屋の鴨居の上に飾ることが一般的でした。それが難しいお家では、初盆や一周忌に使われることもあるので大切に保管される方が多いです。また遺影の写真を普通のL版の写真サイズにして、写真立に入れてお部屋に飾られている方もいらっしゃいます。
以上の事をご参考に、写真の有無に関わらず、心を込めたお祀りをして頂ければと思います。