ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2021年5月11日

お香典の豆知識「お葬式のし袋の表書き」の使い分けについて

  • お仏壇と墓石の太田屋
  • 太田博久(代表取締役)
お葬式 のし袋 表書き

お葬式にお香典を持参してお焼香に伺うとき、不祝儀用のし袋の表書きをどう書けばよいのか?

仏教でのお葬式、それ以外の神道(神葬祭)やキリスト教でのお葬式ではどう書くのか?

お客様から、そのようなご質問を受けることがあります。

一度確認しておけば、それほどお困りになることはないと思いますので、「お葬式のし袋の表書き」に役立つ豆知識をお知らせします。

※地域の風習等で若干の違いはあるかもしれませんが、大きく異なることはないと思います。

 

仏教(仏式)でのお葬式の場合

 御霊前(ごれいぜん)

仏教では宗派によって書き方が異なる場合があります。最も一般的な宗派「八宗(はっしゅう)」と呼ばれる宗派の中で浄土真宗以外の曹洞宗、臨済宗、天台宗、真言宗、浄土宗、日蓮宗の6宗派では「御霊前」と書きます。「御香典(御香奠)」と書く場合もあるかもしれませんが、最も一般的な書き方が「御霊前」ですので、この宗派については「御霊前」と書けば問題はありません。

ただ、お葬式に伺うことができず後日持参する場合には、四十九日以前であれば「御霊前」でかまいませんが、四十九日を過ぎる場合には「御仏前」または「御佛前」と書きます。

 

 御仏前・御佛前(ごぶつぜん)

仏教の八宗のうち、浄土真宗本願寺派(お西)と真宗大谷派(お東)の2宗派では「御霊前」とはせず「御仏前」または「御佛前」と書きます。この浄土真宗の二つの宗派では、亡くなられた方は阿弥陀如来の願力によって仏の世界(浄土)へ還っていく(成仏)するとの考え方に基づき「御仏前」とします。もちろん、四十九日を過ぎた場合でも同様です。浄土真宗の2宗派は常に「御仏前」または「御佛前」と覚えておくとよいでしょう。

 

 神道(神葬祭)でのお葬式の場合

神式のお葬式では仏教の場合と異なります。「御神前(ごしんぜん)」「御玉串料(おんたまぐしりょう)」「御榊料(おさかきりょう)」などと書きます。

仏教の場合のお香典は「香」の字に表されるように、故人の霊前にお線香やお花を供える代わりの金品を指しますが、神道は香ではなく「玉串」や「榊」を供えることからこのように書くのだと覚えておけばよいと思います。使用する不祝儀用のし袋は仏式と同様です。

 

 キリスト教でのお葬式の場合

キリスト教の場合でも、不祝儀用のし袋は仏式と同様です。「御霊前」または「御花料」と書けばよいようです。

仏式も神式もキリスト教式も「御」は漢字で書き、「ご霊前」や「ご仏前」などとは書かない方がよいでしょう。

 

薄墨で書くの?

お香典の表書きは「薄墨(うすずみ)」で書くとよく耳にします。これは通常の黒く濃い墨ではなく、少し水で薄めたような墨のことです。

最近では筆ペンを使う方が多いと思いますので、墨を硯ですって書く方は少ないでしょう。昔は自分で墨をすって書いていましたので、訃報に接し悲しみの涙が墨に混じって薄くなってしまったとか、ゆっくり墨をすっている時間もなく駆けつけたとかいうことを表現して、不祝儀用のし袋は薄墨で書くものとされたようです。

しかし最近では、大半の方が薄墨でなく通常の墨の濃さで書いていますので問題はないでしょう。薄墨用の筆ペンもありますが、こだわる必要はないものと思います。ただ、たまに薄墨での表書きを見かけると「この方はご存知なのだな」とは思います。

 

お香典の金額の相場は?

最後にもうひとつ。お客様に聞かれることの多いお香典の金額を「いくらぐらい包めばよいのか」についてです。

これは地域によって相場に違いがあることは事実です。それは長年の習慣やお葬式の仕方の違いに関係しているものと思われます。

参考までに、弊社が葬祭業を営む信州諏訪地域のお香典相場について記します。

・通常の地域や職場等でのお付き合い 3,000円

⇒お葬式に参列するほどではないが、お悔やみを伝え、お焼香には伺っておきたい関係

・地域や職場等でも親しいお付き合い 5,000円

⇒お葬式に参列するほどではないが、個人的に親しい関係

・友人等かなり親しいお付き合い 10,000円

⇒ご遺族も認識し、お葬式に参列してお別れをするとても親しい関係

・親戚やご遺族同様に親しい関係 20,000円以上

以上は、あくまでも信州諏訪地域の目安としてのお香典金額相場です。

お香典は故人に対して弔意を表し、お線香やお花の代わりに金品をお供えする行為です。また地域の方々が協力して執り行っていたお葬式で、悲しみの最中にあるご遺族を「お互いさま」の気持ちで助け合うという性質もありました。故人やご遺族との関係はそれぞれですし、地域の習慣もありますので、目安を参考にしながら、弔意の表現としての金額を考えていただければと思います。