ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2021年4月23日

毘沙門天(びしゃもんてん)

  • 株式会社ぶつだんのもり
  • もくりんくん
毘沙門天

毘沙門天をご存知でしょうか。

毘沙門天は、財宝や勝利を司る七福神の一柱であると共に、仏教の天部に位置する仏様でもあります。

 

インドの財宝神クベーラ

毘沙門天はインドのヒンズー教の財宝神であるクベーラが、仏教の帝釈天(たいしゃくてん)であるインドラに仕える神として帝釈天とともに仏教に取り入れられ、仏道の守護神となりました。

 

四天王の時は名前が違う!?

多聞天毘沙門天は仏教では天部でも特に強い力を持つ守護神である四天王の一尊です。

「え?四天王に毘沙門天なんて名前の仏様いたっけ?」と思われるかもしれませんが、四天王の時は名前が多聞天(たもんてん)となります。

元々のインドの財宝神クベーラの時に「ヴァイシュラヴァナ」という別名があり、その音写から毘沙門天という名となったのですが、ヴァイシュラヴァナには「よく聞く」という意味もあったために多聞天という名も出来たそうです。

日本においては四天王としての多聞天の方が先に伝わったそうです。

多聞天の時は毘沙門天の時よりも特に宝塔を持っている事が多いようです。

 

北を司る守護神

毘沙門天は仏教の世界観で中心にそびえる須弥山(しゅみせん)を守る四天王の多聞天として、北の門を守護しています。

また、毘沙門天は四天王の中では唯一、十二天としても方角を守っています。その際、十二天として守護する方角も北になります。

インド神話のクベーラの時からローカパーラ[世界を守るもの]として北を守護していた名残でしょうか。

 

上杉謙信と毘沙門天

上杉謙信 旗印戦国時代の武将、上杉謙信は仏道に深く帰依し、なかでも毘沙門天への信仰が非常に厚かったと言われています。

その信仰の厚さは旗印として掲げた「毘」の文字からも垣間見えることでしょう。

毘沙門天は戦勝のご利益のある神であり、強力な守護神でもあることから、武士からの信仰の広い仏様でありますが、特に上杉謙信は派生像である「刀八毘沙門天(とうはちびしゃもんてん)」を信仰していたとされています。

刀八毘沙門天は複数の手と顔を持ち、その手には八本の刀を持っていて獅子に乗っています。その強そうな姿に守本尊として信仰する戦国武将は多かったと言われます。

 

毘沙門天の姿

毘沙門天毘沙門天の像として姿は、四天王の多聞天としての場合も独尊の毘沙門天としての場合も七福神の場合もほとんど変わりません。

守護神らしく甲冑を身に着けた姿は七福神として描かれる場合も他の六柱と一線を画していますね。

持ち物は片手に宝塔を掲げる場合が多く、もう片手には三叉戟(さんさげき)や矛(ほこ)などの武器を持っていたりします。

また、三叉戟や矛の代わりに宝棒を持っている事もあり、特に如意宝棒(にょいほうぼう)という、如意宝珠という仏様がよく持っている珠が付いた宝棒を持っている場合もあります。

足元は岩座に乗ったり、邪鬼に乗ったり踏みつけたりしていることもあります。

 

毘沙門天のご利益

以上のような事から、毘沙門天はインドのクベーラとしての時からの財宝をもたらすというご利益と、守護神・毘沙門天となってからの勝負事に勝つというご利益をあわせ持つ仏様となっています。

 

ムカデは毘沙門天の使い!?

毘沙門天とムカデ節足動物の百足(むかで)は毘沙門天の使いであると言われています。

前にしか進まないことが戦勝の象徴であったり、足という言葉はお金を表すこともあり、足が多いということが金運を招くという意味があったりして、財宝をもたらし戦勝のご利益がある毘沙門天の使いと言われているようです。

 

様々なグループに属する毘沙門天

これまでに挙げましたように、様々なグループに参加している毘沙門天。

下記に参加しているグループの一覧を挙げてみましょう。

七福神 [道教や神道など出身の違う様々な神様が集まったグループ]

恵比寿 大黒天 福禄寿 毘沙門天 布袋 寿老人 弁財天

四天王 [仏教観における須弥山の中腹で仏法僧を守護しているグループ]

東方の持国天 南方の増長天 西方の広目天 北方の多聞天

十二天 [仏教の護法善神である天部の諸尊12種が八方位と天地・日月を守護するグループ]

東に帝釈天 東南に火天(かてん) 南に焔摩天(えんまてん) 西南に羅刹天(らせつてん)

西に水天(すいてん) 西北に風天(ふうてん) 北に毘沙門天 東北に伊舎那天(いざなてん)

天に梵天(ぼんてん) 地に地天(じてん) 日に日天(にってん) 月に月天(がってん)

 

毘沙門天はどこで見られる?

毘沙門天毘沙門天は、七福神・四天王としてのみならず、独尊としても祀られますので、様々なお寺で仏像を見ることが出来ます。

京都や奈良のお寺では国宝となっていたりします。

また、四天王の多聞天としてお寺の須弥壇を守護していたり、七福神の石像として参道に祀られていたりもするので、気に留めてみたら見つけられるかもしれません。