ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2021年4月16日
五輪塔とは
- 株式会社ぶつだんのもり
- もくりんくん
五輪塔というお墓をご存知でしょうか
現在の和型のお墓は、位牌型と呼ばれる、基本的には三段積みで一番上の部分が縦長の長方形になっているものが一般的です。この一番上の部分は棹石(さおいし)とか真石(しんいし)などと呼ばれ、頭が丸くなっていたり、角が丸くなっていたりします。
ですが、墓地を見渡すと、なんだか串に刺さったおでんの様な形の△◯□が積み重なった様なお墓を見たことはないでしょうか。
このお墓が五輪塔なのです。
五輪塔とはどんなお墓?
五輪塔とは本尊佛を祀る墓ともされ、現在主流の位牌型のお墓よりも格式が高いと言われています。五輪塔は死者を極楽浄土へと導くお墓とも言われています。
現在では50年忌以上に及ぶご先祖様を祀るお墓とも言われ、昔のご先祖様のお墓が多数ある場合に五輪塔にまとめて墓所を整理するといった建て方もしています。
また、さらに格式が高いと言われる、100年忌以上に及ぶご先祖様を祀るとされる宝篋印塔(ほうきょういんとう)という供養塔もあります。
五輪塔と位牌型の累代墓(るいだいはか)を並べて建てる場合
五輪塔を建てる場合は、五輪塔単体で建てる場合もありますが、位牌型の累代墓と並べて建てる場合があります。先に挙げましたご先祖さまのお墓をまとめて合祀する場合などは累代墓と並べて建てる場合が多いです。
累代墓と並べて建てる場合に気を付けたいことは、五輪塔は上座に当たる、累代墓の向かって右に建てるという事と、累代墓より高さを高くするという事です。
五輪塔の各部の名称
五輪塔は位牌型のお墓にもある下の二段の台を除けばその名の通り5つの部分に分けられます。
上から、宝珠形の空輪・半月形の風輪・三角形の火輪・球形の水輪・方形の地輪という名前で、古代インドにおいて宇宙やあらゆる世界を構成する要素と考えられた五大を象徴しています。
真言宗の開祖である弘法大師空海はこれらの要素を、地は体であり、水は血液であり、火は体温であり、風は呼吸であり、空はそれらを全て融合した状態であり、これに心や考える事を意味する「識」が加わり人となると考えたそうです。
また、五輪は元々はそれぞれに色があり、地輪は黄、水輪は白、火輪は赤、風輪は黒、空輪は全ての色となっていますが、石塔にする場合は特に気にする必要はないでしょう。
五輪塔の文字の刻み方
五輪塔は位牌型のお墓とはちょっと違った文字の刻み方をします。
梵字の種子(ぼんじのしゅじ)
最も多いのが地・水・火・風・空を表す梵字による種子と言われる「ア・バ・ラ・カ・キャ」を下から刻みます。宗派を問わずに使われます。
種子を読む場合は下からアバラカキャと読みます。
四方に刻む場合は、東南西北で空輪はキャ・キャー・ケン・キャク、風輪はカ・カー・カン・カクといったように変化します。
妙法蓮華経
天台宗・日蓮宗は上から漢字で「妙・法・蓮・華・経」を刻む場合があります。日蓮正宗は必ず上から妙・法・蓮・華・経を刻みます。
南無阿弥陀仏
浄土宗は上から漢字で「南・無・阿弥・陀・仏」を刻む場合があります。
地水火風空
禅宗は下から漢字で「地・水・火・風・空」を刻む場合があります。
また、種子や特定の文字を刻まないという場合もあります。
浄土真宗は基本的には五輪塔を建てない
浄土真宗の考え方では、基本的には五輪塔を建てません。同様に五輪塔を元に簡略化された卒塔婆(そとば)も用いません。
ただし、地域やお寺様によっては五輪塔を建てる事もあるようです。
五輪塔の歴史
現在の一般的な位牌型のお墓は、江戸時代中期頃から建てられ始めたと言われていますが、五輪塔の歴史はもっと古く、平安時代末期頃に日本で考えられたと言われています。
五輪の思想自体はインドにあって、五輪塔の形状もインドの思想を元に作られていますが、それを供養塔やお墓として建立したのは平安末期の日本からなのだそうです。
長い歴史を持つ五輪塔ですので、戦国武将のお墓がとてつもなく大きな五輪塔だったりもします。
五輪塔を広めたのは覚鑁(かくばん)
真言宗の中興の祖と言われる覚鑁上人によって五輪塔は全国に広まったと言われています。
五輪塔を建てて供養を行う事によって、故人は成仏して極楽浄土へいくことができる。という様な教えを説き、世に広まったのだそうです。
現在の一般的な位牌型のお墓が広まった江戸時代中期頃まで、五輪塔は身分関係なく一般的に建てられたお墓だったそうです。
五輪塔を建てませんか
五輪塔は格式の高いお墓であると同時に、身分関係なく建てられるお墓であり、故人を極楽浄土へと導いてくれるお墓なのです。
古いご先祖様のお墓が多数点在して、お手入れも拝むのも一苦労…。そんな時は五輪塔を建てて、一箇所で拝むようにすれば、お祀りする人も供養をやりやすくなりますし、ご先祖様も格式の高い五輪塔を建ててもらって喜ばれるかと思います。