ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2021年3月26日

御影石(みかげいし)の種類や特徴

  • 株式会社ぶつだんのもり
  • もくりんくん
御影石

御影石という石材

御影石(みかげいし)とはどんな石なのかということは、こちらのコラム【御影石とは▶】で過去に書かせてもらいました。

御影石とは現在ではお墓に使われる石の総称で、基本的には花崗岩(かこうがん)、黒い石の場合は花崗岩でなくても黒御影石と呼ばれたりします。

墓地に建っているお墓を見渡してみたら、色もとりどり、石目も様々な御影石があるかと思います。

今回は御影石の種類や特徴についてを書きたいと思います。

 

御影石の特徴

御影石にも様々な種類があるのですが、共通した特徴をあげると、硬質でキズが付きにくく、風化に強いという点です。

また、石種により多少の差はあるものの、水を含みにくく、含んでも吐き出しやすいという特徴もあります。

これらの特徴から屋外で風雨にさらされ続けるお墓の材料として最適なのです。

昔のお墓は御影石ではなく砂岩系の石で作られていることも多く、風化に強いとは言えないため、角が丸くなったり、表面が剥がれたりしていることもあります。その為、風化に強い御影石で作り替えるという方もたくさんいらっしゃいます。

 

御影石の産地

御影石は様々な国や地域で産出されています。なかでも中国とインドは御影石の一大産地と言えるでしょう。

その他にもアメリカ、スウェーデン、ポルトガル、ウルグアイ、韓国等々、世界各地で御影石は産出されています。

もちろん日本でも全国各地で産出され、最高峰の御影石は香川県の庵治石(あじいし)と言われています。

その他にも有名な国産石をあげますと、福島県の滝根石(たきねいし)、茨城県の真壁石(まかべいし)、岡山県の万成石(まんなりいし)、愛媛県の大島石(おおしまいし)、福岡県の内垣石(うちがきいし)など…。

 

中国の御影石

世界でも最大の御影石の産地である中国では、様々な御影石が産出されています。

その名称はG614などというようなアルファベットと数字の組み合わせであることが多いのですが、この名称にはある程度の意味があるのです。

まず、最初のGとはGranite(グラニット)の事で、これは英語で花崗岩、つまり御影石の事です。

そしてその最初の数字は中国内での産地を表しています。

よくあるのはG6〇〇という600番台の御影石ですが、この6という数字は中国の福建省(ふっけんしょう)で産出されたことを表しています。福建省は中国でも特に御影石の一大産地ですので、この600番台の名称の御影石が多いのです。

他によくあるのは300番台と1700番台ですが、300番台は山東省(さんとうしょう)、1700番台は黒龍江省(こくりゅうこうしょう)となります。黒龍江省の御影石はこの名称とは違って、K〇〇という場合もあります。

色も様々あり、赤・ピンク・黄・茶・緑・黒・グレーと多種多様でお好みの色目が見つかるかと思います。

 

インドの御影石

インド黒インドの御影石は濃い色目のものが多いです。黒・緑・赤・茶・グレーが代表的で、特にインドの黒は最高の黒御影石と言われています。

日本では細かい石種に関係なく、インド黒、インド緑、インド赤など色目にインドと付けた名称で呼ばれることが多いようです。

また、大理石のようなマーブル調に流れたような模様の石材も産出されていて、人とは違ったデザインの墓石を建てる方にも人気です。

 

日本の御影石

日本の各地でも産出される御影石ですが、色目は基本的にはグレー系が多いですが、ピンクや朱色のような石も産出されています。

庵治石(香川県)

庵治石細目香川県で産出される庵治石は世界的に見ても最高峰・最高級の御影石です。

なかでも、石目が非常に細かく詰まった「細目」が最高だとされています。

他の御影石と比べても非常に細かい石目のため、彫刻した際の角が美しく、また細かい彫刻を施しても角がこぼれ落ちない等の長所があります。

高品質の庵治石細目は「斑(ふ)」と呼ばれる濃淡の模様がある事が特徴となっています。

細目の中でもランクがあり、斑が綺麗に浮かび上がった最高品質のものはごくわずかしか採れない為、非常に高価となっています。

大島石(愛媛県)

大島石大島石は、愛媛県の今治市、しまなみ海道の通る大島という島から産出される御影石です。

離れると少し青みを含んで見える石で、近くに寄ると茶色がかった石英がよくみられます。細かく均等な石目で、特に西日本で人気の石材です。

どの時期に採石されたものであっても、大きくは石目が変わらないため安心でき、石塔や部材を後から追加した場合でも石目を合わせやすいかと思われます。

万成石(岡山県)

万成石万成石は、岡山県で産出される、桜御影とも言われる国産では珍しい淡紅色(たんこうしょく)~薄橙色(うすだいだいいろ)の御影石です。

少し大きめの石目は、まるで花びらを散らしたようであり、その明るい色目から、洋風のお墓にも使われる石材です。

また、石原裕次郎さんをはじめとする数々の著名人の墓石にも多く使用されているようです。

万成石のなかでも、それぞれの成分の色目がはっきりとした最高品質のものは特に「龍王石(りょうおういし)」と言われています。

内垣石(福岡県)

内垣石内垣石は、福岡県で産出される九州の銘石とも呼ばれる御影石です。

細かく目の詰まった、青みを帯びた少し濃い目の色合いの石材です。

ツヤ持ちがよく、劣化にも強いため、採掘されたもののほとんどが墓石として使用されます。

採掘量はそれほど多くないため高級石材として、西日本や東海地方で人気の石種となっています。

滝根石(福島県)

滝根石滝根石は、多くの御影石が産出される福島県でも、特に産出量の多い代表的な石材です。

石目は少しだけ粗目ながらバランス良く整っていて、吸水率が非常に低く、鉄分も少ないためサビにくいのが特徴です。

耐久性が強いため、磨いた滝根石はそのツヤがとても長持ちすると言われます。

特に関東でよく墓石に使用されている石材です。

 

御影石の値段・価格

庵治石原石御影石の価格はそれこそ産地や石種により様々でピンキリと言えるでしょう。

中国産石材は比較的リーズナブルな御影石が多いです。

国産でいえば庵治石は非常に高価な石材です。

やはり、産出量が中国石材と比べれば少なく、採石された原石から墓石に使える品質のレベルのものはごくわずかであり、貴重な石材ですので、それに見合った価格となっています。

また、既にほとんど採掘されなくなってしまっている石材も高価となっていて、なかでも御影石の語源ともなっている兵庫県の「本御影石」は幻の御影石とも言われ、高額な石材です。

 

お墓以外での御影石の使用方法

外壁-御影石貼御影石といえば、いまやお墓の石という認識の方も多いかと思いますが、墓石以外でも様々なところで使用されています。

お寺の外で祀られている仏像は御影石でできていることが多いかと思います。表面を磨いた仕上げにしていない場合が多いため、パッと見た感じですと墓石と同じ御影石だとは分からないかもしれません。

ビル等の建物の外壁に板状の御影石が貼られていたりします。また内装でも、男性用の小トイレの前にある物を置いておける部分に使われているのをよく見るような気がします。

水濡れに対する風化に強いので、水を使用する部分に使われることも多い様です。側面にタイルのように貼られたり、床面に滑り止めの加工を施して貼られたりもしています。

最近ではキッチンの天板にも使われたりしています。熱に強く、キズがつきにくいというメリットがある為です。

また、音響設備の下に敷くオーディオボードとして、硬質で重量のある御影石を使用することで、余計なノイズを抑制して、音響設備の本来の能力を発揮させ、音質を向上させるそうです。

そして、ちょっと前に有名になったのが、カーリングのストーンですね。カーリングのストーンに使われる御影石はスコットランドのアルサクレッグ島産のものと決められているようです。

 

御影石と大理石の違い

大理石御影石と同じような石材に大理石があります。

御影石が基本的には花崗岩で主成分が石英(せきえい)と長石(ちょうせき)なのに対し、大理石は石灰岩が変成作用を受けてできた主成分が方解石(ほうかいせき)の石です。

御影石の主成分である石英とは水晶のことでモース硬度7と極めて硬いものなのですが、大理石の主成分である方解石はカルサイトという石でモース硬度3の石なのです。

磨いた御影石はカッターナイフで表面を削ごうとしてもキズは付きませんが、磨いた大理石をカッターナイフ削ごうとすればキズが付きます。

また、大理石は酸に弱いという性質も持っています。

ですので、大理石は基本的には屋内用として使われます。大理石は英語でMarvel(マーブル)ですが、マーブル模様と言われる通りの流れるような模様の見た目が美しく、高級感があるため、ホテルや美術館等で使用されたりしています。

柔らかいという事は加工がしやすいということですので、御影石よりも自由な造形に加工されることも多いかと思います。

対して御影石は、屋外・屋内問わずに使用されています。見た目は、よく墓石に使われている石英・長石・雲母等の目が均等なもの以外にも、大理石のようなマーブル調の模様のものや、キラキラと光を反射する成分が含まれているものもあり、色のバリエーションも豊富ですので、大理石以上に様々なところで活躍しています。

国会議事堂の外装にも国産の御影石が使用されたりしています。

 

御影石を使用する際の注意点

御影石-仕上げ硬い御影石は磨きあげると表面はツヤが出て、とても美しくなります。濃い色の石ですと鏡のように映り込む程です。現在、墓石に使う場合はほとんどが磨き仕上げとなっています。

ただし、見た目が美しいからといって磨き仕上げの御影石を人が歩く地面にそのまま使用するのはオススメしません。

磨きをかけた御影石は、磨いていない状態よりもさらに水を含みにくく、水が吸収されずに表面に浮いた状態になります。雨が降ったりした後にそこに足を踏み入れるととても滑りやすく危険なのです。

人が歩くようなところに使用する場合は、部分的にでも表面を荒らした仕上げにしておくのが基本なのです。人の足の全てが磨いている表面に乗ってしまうと危ないので、一部でも磨いていない部分に足が乗るようにしなければいけません。墓所の床面に使用する場合は、その磨いている部分と磨いていない部分で模様を描いてデザインとしている方もいらっしゃいます。

最近は薬剤を塗布して滑りにくくするようにもできますが、定期的なメンテナンスは必要かと思われます。

 

魅力的な御影石

硬くてキズが付きにくい特徴を持つ御影石。墓石以外でも、身近なところで使用してみてもいいかもしれませんね。

墓石を取り扱っている販売店でも相談をすれば墓石以外の用途でも販売してくれますので、使い方を考えてみるのもいいかと思います。