ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2021年3月22日

最近話題の手元供養には、どんな種類があるのでしょうか?いろいろな手元供養品をご紹介します。

  • お仏壇と墓石の太田屋
  • 太田博久(代表取締役)
手元供養

「手元供養(てもとくよう)」という言葉をご存知でしょうか?

暮らしの変化で、多くの方々の供養の対象が目に見えない「先祖」から、自分の人生の中に刻まれた面影ある「故人(個人)」中心へと変わってきていることを感じます。長年一緒に生きてきた、かけがえのない大切な方を亡くしたとき、誰もが受け入れ難く、別れ難い気持ちになるのは当然です。

故人のご遺骨をお墓にすべて納めてしまうのは忍びない、故人をいつまでも、少しでも身近に感じていたい…そのような自然な気持ちに寄り添う供養の形が「手元供養」と言えます。ご遺骨をダイヤモンドにして指輪やペンダントに、ご遺骨の一部を小さな骨壺に収めて仏壇に、オブジェの中にご遺骨を納めてリビングに…等々。

もちろん、従来の一般的な仏壇やお墓での供養でも、故人を思い出し、語りかけながらお参りすることはできます。ただ、それよりも「もっと身近に」「いつでも一緒に」という気持ちを大切にしたいとお考えの方々にお勧めするのが「手元供養」です。

手元供養には、すでに誕生から20年ほどの歴史がありますが、近年になって多くのメディアに取り上げられ、注目が集まるようになりました。また、その形や種類も増え、手元供養にもいろんな選択肢が出てきています。

いつも一緒に、身近に故人を感じていたい…そんな気持ちにお応えする手元供養品をご紹介します。

 

仏壇に、棚の上に、机に…それぞれの気持ちに応える手元供養品「ミニ骨壺(こつつぼ)」

手元供養 ミニ骨壺

昔から、親のご遺骨を兄弟姉妹で分けて納める「分骨(ぶんこつ)」という方法があるように、お墓に納めるご遺骨の一部を分けて、別の骨壺に納めることは決して不思議なことではありません。故人のご遺骨の一部を小さな骨壺「ミニ骨壺」に納めて身近な場所に安置し、話しかけながら手を合わせるという供養の方法は、手元供養の中でも最も多くの方々に親しまれている形です。(実は私も、父の遺骨の一部をミニ骨壺に納めて仏壇に祀ってあります。)

優しい色合いや様々な形があるガラス製のミニ骨壺、手に持つと少し重みを感じる真鍮製のミニ骨壺、落ち着いた和風テイストの陶器のミニ骨壺などなど、その形状や色彩も多様なミニ骨壺があります。実際に手にして、そっと包み込むように触れると、あなたの手のひらのぬくもりが、かけがえのない故人に暖かく伝わっていくかもしれません。

ミニ骨壺は、仏壇の中に置いたり、家族が集まるリビングの棚に置いたり、部屋の机に置いたりと、ご自身のお好きな場所に置いてお参りするのに適しています。また最近増えている、扉のないステージの上に写真立てと一緒に置いて、お花を飾り、ローソクの火を灯し、お線香を上げるスタイルを取る方もいらっしゃいます。

最も自由に、最も抵抗感なく選択していただける手元供養品が「ミニ骨壺」です。

 

表情のあるオブジェに語りかける手元供養品「納骨オブジェ」手元供養 納骨オブジェ

陶器(清水焼)のお地蔵様の、御影石のお地蔵様の表情を見ながら、触れて、撫でて、両手で包み込んで。ただ置いておくだけではなく、手に取って触れながら故人に語りかける手元供養品が「納骨オブジェ」です。

このオブジェの中には小さな骨壺が収納できるようになっています。お地蔵様の穏やかな表情に大切な故人の面影を重ね合わせながら身近で供養することができます。

手元供養 納骨オブジェ フォトスタンド

納骨オブジェには、故人の思い出のお姿の写真を焼き付けるタイプもあります。このフォトスタンド型のオブジェも、中に小さな骨壺を収納できる仕様になっていて、写真の中の故人の表情を見つめながら供養することができる手元供養品です。

上の写真のフォトスタンドは清水焼の白磁器です。きめ細かくなめらかな肌触りで、お参りしながら思わず写真の故人を優しく撫でてみたくなることでしょう。

プリント写真や写真データをお預かりしてから、約2週間程度の制作期間で、かけがえのない故人のお姿の焼き付けられたオブジェが仕上がります。ご希望であれば、同時にメッセージを焼き付けることもできる手元供養品です。

 

お墓の代用としての手元供養品「ご供養家具」「自宅墓」「家墓」

手元供養 ご供養家具

ご遺骨の一部を納めるのではなく、ご遺骨の骨壺をそのまま自宅に安置して供養する形もあります。近年はお墓をつくらないという選択をなさる方もいらっしゃいます。また、お墓をつくるのがよいのか、搬送式の納骨堂に納めるのがいいのか、合葬墓などの選択はないか…等々、様々なご事情で、すぐに決めて準備のできないお宅もあるかもしれません。そのような方々にお勧めの手元供養品が「ご供養家具」です。

以前NHKでも取り上げられたご供養家具は、大きな骨壺を自宅に納めて供養することを前提にデザインされたものです。上の写真のように、下台に仕切りのない広いスペースが確保され、骨壺をそのまま納骨できるデザインになっているのが特徴です。

手元供養 自宅墓 家墓 宅墓

骨壺そのままではありませんが、少し小型の骨壺を、まるでお墓のようなデザインの小さなお石塔に納める手元供養品もあります。「自宅墓」「家墓」などと呼ばれる、お墓と同じ御影石でできたこの手元供養品は、お石塔の中に小型の骨壺を納めるスペースが作られています。写真を飾れるタイプもあり、その名の通り「自宅の中に」作られたお墓という形態です。

 

かけがえのない大切な故人がダイヤモンドに…手元供養品「メモリアル・ダイヤモンド」

手元供養 ダイヤモンド

手元供養品の中で最も有名なものが、故人のご遺骨をダイヤモンドにして身につける「メモリアル・ダイヤモンド」かもしれません。

天然のダイヤモンドは、炭素が地中深くで高温高圧にさらされることで生成されます。その原理を応用し、火葬後にも故人のご遺骨(遺灰)の中に含まれている炭素を抽出し、人工的に高温高圧をかけることで合成ダイヤモンドを製造します。

この方法でご遺骨からダイヤモンドを製造する会社は数社ありますが、弊社の場合はスイス・アルゴダンザ社の傘下であるアルゴダンザ・ジャパン様と提携しご遺族のご希望を実現しています。透明度の高い、自然なブルーの色合いが特徴です。ご遺骨の量によって製造できるダイヤモンドの個数も変わりますので、専門のスタッフが直接ご遺骨をお預かりに自宅に伺うケースが多くなります。

ダイヤモンドは永遠の輝きと言われます。そのダイヤモンドを指輪にしたり、ペンダントにしたりしていつも身につけて供養していただく形の「メモリアル・ダイヤモンド」は、究極の手元供養品と言えるかもしれません。ご遺骨(遺灰)の状態にもよりますが、平均的にはご遺骨のお預かりからお届けまで、6カ月程度を要します。

 

アクセサリーとしての手元供養品「遺骨ペンダント」

手元供養 アクセサリー ペンダント

メモリアル・ダイヤモンドのように時間や金額の負担がある形ではなく、もっと気安いアクセサリーとして身につけやすい手元供養品に「遺骨ペンダント」があります。これはシルバーペンダントの一部がネジ構造になっていて、フタを開けて中にご遺骨を少量納めることができる形状です。ほんの少量ですが、故人のご遺骨を納めたペンダントを身につけ、時には握りしめ、ご自身のお守りのように愛用できるペンダントです。大切な方のご遺骨が納められることで、あなたにとって他にはない、唯一無二のペンダントとなることでしょう。

シルバーペンダントとは異なる、和風テイストの竹製ペンダントもあります。同じく中にご遺骨の一部を納め、自然素材で作られたペンダントをいつもバッグの中に忍ばせたり、紐を取り付けネックレス仕様にすることもできます。

 

手元供養を演出する「供養ステージ」

手元供養 ステージ

手元供養は、すでに仏壇やお墓をお持ちのお宅でも取り入れていただける方法ですが、これから改めて手元供養を中心に考えたいという方にお勧めなのが、この「ステージ」タイプの供養方法です。

仏壇よりもコンパクトで、扉がなく、ミニ骨壺・位牌・写真立て等を自由に置いて、リビングの棚やテーブル、机の上など設置場所も自由度高くお考えいただけます。もちろん、サイズの小さな、色彩やデザインも豊富な仏具(香炉・燭台・花立・リンなど)を置くこともできます。

手元供養 ステージ

最近は、この供養ステージを活用される方々も増え、種類も豊富になっています。上の写真の供養ステージは、ちょっと重厚感ある照明も組み込まれた本格派のステージです。

手元供養 ステージ

明るく開放感ある、カジュアルなスタイルの供養ステージもあります。家の中のどの場所で供養をしたいのか等のご希望に合わせたデザイン、色彩をお好みで選んでいただけます。

供養ステージを活用し、様々な手元供養品を組み合わせると、あなただけの独自で個性ある手元供養に、大切な故人らしさをより感じられる供養になるかもしれません。

 

<手元供養への私の思い>

20年数年前、私が手元供養を強く意識し、弊社でも取り組みたいと思う契機となったある不幸な出来事がありました。

日頃大変お世話になっている地域の先輩と一緒に会合に出席していた時、その先輩の携帯電話に奥様から連絡が入りました。耳を疑うようなその内容は、先輩の小学生の息子さんが、交通事故で亡くなられたとの知らせでした。しかも、新しく直線に整備された近所の市道で、一緒に出掛けていた御祖父様が道路の反対側から呼び掛けた声に反応し、道路を横断しようと駆け出した息子さんが…想像しただけで胸が締め付けられる痛ましい事故でした。

お葬式のお手伝いをし、改めてご挨拶に伺った際の先輩ご夫婦のお悲しみと痛みに触れ、葬送供養の仕事をする身として、お二人の今後に何か少しでも力になれることはないだろうか、と考えていました。そして、多くの仏具メーカー等に相談して見つけたのが、プラスチック製のカプセル型「納骨キーホルダー」でした。

当時はまだ手元供養がようやく産声を上げ始めたばかりの時期です。葬送供養業界でも、手元供養という言葉すら知らない業者も多くありました。もちろん私もその一人です。それでも、この「納骨キーホルダー」に息子さんのご遺骨を納めてご夫婦でいつも身につけていることができたなら、もしかしたら少しでも力になれるかもしれない。そう思って先輩ご夫婦に差し上げました。

私たちが日々接しているご遺族の中にも、先輩ご夫婦のような悲しみや痛みを抱えている方々は当然いらっしゃるはずだ。そう思い情報を集めているうちに、当時先進的に取り組みを始めていた「手元供養協会」の方々と出会い、弊社での手元供養への取り組みが始まりました。

従来の一般的な仏壇やお墓から、納骨堂や合葬墓、モダンな仏壇や樹木葬、そして手元供養へ。時代の変化、暮らしの変化につれ葬送供養の方法は変わり続けています。それでも、その葬送や供養という行為の中に込められた私たちの「見えない先祖への感謝」や、ご遺族の「かけがえのない大切な亡き方への思い」が葬送供養の中心であることには変わりありません。

その感謝や思いを大切にし、「より身近に」「いつも一緒に」故人を感じる供養の方法のひとつとして、手元供養をお役立ていただければ幸いに思います。