ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2021年3月8日
香と香炉灰について
- 株式会社大越仏壇
- 商品部 小橋
お仏壇は、ご本尊・お位牌などや仏飯器・香炉・火立て・香炉などのお仏具を荘厳(しょうごん)しています。
そのお仏具の中に、香炉というお仏具があります。お香(線香)を焚くお仏具です。
線香を寝かしたり立てたりして焚いたり、抹香を焚くために香炉を使用するのですが、中には香炉灰を入れています。
線香を寝かしたり立てたりするのは、ご宗派によって違います。
常香盤
昔は、お線香がありませんでした。
江戸初期に線香の製造技術が中国から伝わってきたのですが、それまではお香を焚くときには常香盤を使用して
いました。
常香盤とは、中国から伝わりました。お香を長時間絶やさないで焚くことが出来ます。
使い方は、常香盤に入れた香炉灰をならしてから型を押さえ幾何学模様の溝を作り、その溝に抹香を入れて
その一端に火をつけ使用します。
この作業は、かなり集中力を要するため修行と言えるでしょう。
その抹香が燃えた速度によって時間を計っていました。
燃える速度が一定で安定しているためです。
お線香を寝かせる
お香を焚くときに常香盤を使用していましたが、お線香が出てきたときに寝かせて焚く宗派と立てて焚く宗派とに
分かれたそうです。
浄土真宗は、香炉灰の上にお線香を寝かして焚きます。
その常香盤でお香を焚いていたことに従い、引き続きお線香を寝かして焚いているためとされています。
線香を立てる
浄土真宗の他の宗派では、香炉灰に線香を立てて焚きます
浄土宗、曹洞宗、臨済宗、日蓮宗は1本、天台宗、真言宗は3本を立てるのが正式とされています。
仏法僧の三宝に帰依するということから3本立てるという考え方もあるようです。
線香を3本立てる時は、手前に1本奥に2本を立てます。
上から見ると、逆三角形を描いた形になります。
香炉の向き
現代風の香炉には、向きの決まりはありません(一般には)
旧来の香炉には前後が決まっていますので、注意が必要です。
香炉には、足が三本ついています。そのうちの1本を手前に来るように置きます。
足が、逆三角形を描いた形になります。
香炉灰の種類について
香炉灰の読み方は、”こうろばい”または”こうろはい”です。
香炉は、容器なのでそのままでは線香を寝かせたり立てたりすることが出来ません。
香炉灰を入れて香炉を使用することになります。
香炉灰にも種類があります。
わら灰
わら灰は、その名の通りわらを燃して作られる香炉灰です。
わら灰は空気を通すので、主に線香を寝かせて焚くときに使用します。
浄土真宗におすすめです。
また、線香を立てて焚いても最後まで燃えやすいです。
ただ、灰が締まっていないので、安定性に欠けます。
木灰
木灰は、草木や樹木を燃して作られる香炉灰です。
火鉢や囲炉裏などで使用されています。
また、木灰に手間をかけたものが茶室用の灰になります。
菱灰
菱の実の殻を燃して作られる香炉灰です。
通気性に優れており、臭いもなく舞い上がらないので聞香にも使われる高価な灰です。
香炉や煙草盆(茶道具)の火入にも使用されます。
窯業灰(ようぎょうばい)
鉱物を粉砕して作られる香炉灰です。
灰が固いので、線香を立てて焚くときに使用します。
浄土真宗以外におすすめです。
灰が固いことが線香を立てるのには適しているのですが、線香が灰に達したときに火が消えます。
ソーダガラス製灰
クリスタルビーズで作られる香炉灰です。
極小のガラスビーズで出来ているため、粒に重みがあるので風で舞い散ることがありません。
線香の火が燃えにくいので、線香を寝かして使用できません。
そのため、浄土真宗にはおすすめできません。
現代仏具・モダン仏壇に最適で、特に透明ガラス製の香炉にはおすすめです。
香炉灰のお手入れ
香炉灰は使い続けていきますと線香の燃え残りが溜まってきます。
その時には、網付き灰ならしや灰ふるいで線香の燃え残りを除去します。
また、香炉灰が締まってきて固くなってくると、中の空気が無くなってきて線香が最後まで燃えにくくなります。
時々、灰ならし等で香炉灰を混ぜて空気を含むようにしますと、線香が燃えるようになっていきます。
また、線香の燃えた灰が増えて香炉灰が汚れてきたり、湿気を吸って硬くなりすぎてしまった場合は新しい香炉灰と
入れ替えましょう。
使用していた香炉灰は、可燃ごみとして処分できます。
ガラスビーズで出来ている香炉灰は、汚れてきたら洗って再利用が出来ます。