ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2021年2月19日

観音菩薩の变化(へんげ)

  • 株式会社ぶつだんのもり
  • もくりんくん
観音菩薩

観音様は皆さんお馴染みのよく耳にする仏様ではないでしょうか。

本当のお名前は「観音菩薩(かんのんぼさつ)」、または「観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)」「観自在菩薩(かんじさいぼさつ)」です。

 

時と場所に応じて变化する菩薩

観音菩薩には普門示現(ふもんじげん)という能力があります。

時と場所に応じて様々な姿に变化(へんげ)する能力なのです。

法華経においては33もの姿に変身すると説かれています。

 

六道に現れる六観音

すべての生命は6つの世界への生まれ変わりを繰り返すという思想の六道輪廻(ろくどうりんね)における6つの世界で、観音菩薩はそれぞれの世界で違う姿で現れ、衆生(しゅじょう =あらゆる生物)を救済するといわれています。

聖観音(しょうかんのん)

聖観音六道のひとつ、地獄道(じごくどう)では聖観音として衆生を救済します。

聖観音は観音菩薩の基本形ともいえる姿で、最も人に近い姿です。

1つの顔と2本の手で左手に蓮華を持っていることが多いです。水瓶を持っていることもあります。

同じような姿の仏像であっても、阿弥陀三尊の脇侍として祀られる場合は聖観音とはいわれずに観音菩薩像とされるのが通常です。

千手観音(せんじゅかんのん)

千手観音六道のひとつ、餓鬼道(がきどう)では千手観音として衆生を救済します。

千手観音は千本の手を持ち、それぞれの掌に眼があり、あらゆる衆生も漏らすことなく救済するということを表しています。

千手ではありますが、実際の仏像では、千本の手の造形は困難であるため、11面の顔と42本の手の場合が多いようです。

胸の前で合掌した2本を除いた40本の手でそれぞれ25の世界を救済し、合計で1000の世界を救済されるのだそうです。

手の数が多いので、持物も戟、鉤、剣、瓶等々多岐にわたり、他の仏様の持物を網羅していると言っても過言ではないでしょう。

馬頭観音(ばとうかんのん)

馬頭観音六道のひとつ、畜生道(ちょくしょうどう)では馬頭観音として衆生を救済します。

頭上に馬の頭を付けた観音菩薩です。

他の観音様の変化身が穏やかな表情なのに対し、馬頭観音は明王のような憤怒相(ふんぬそう)をしています。

このことから時には馬頭明王と呼ばれたりもします。

顔や手の数は像により様々見られますが、3面の顔に8本の手というのが多いようです。

手には剣や斧などの武器を持ち、胸の前では「根本馬口印(こんぽんまこいん)」という馬の口を表した印を結んでいることもあります。

十一面観音(じゅういちめんかんのん)

六道のひとつ、修羅道(しゅらどう)では十一面観音として衆生を救済します。

その名の通り、頭上に11の顔をもつ観音菩薩で、11の顔はそれぞれ怒ったり笑ったりと表情豊かです。

手の数が2本の事が多いこともあって、頭上の11の顔以外は聖観音の姿と似ています。

現世において利益もたらし、来世においても果報をもたらすといわれる観音菩薩です。

准胝観音(じゅんでいかんのん)

六道のひとつ、人道(じんどう)では准胝観音として衆生を救済します。

准胝観音は菩薩では珍しく、しばしば女尊とされることがあり、准胝仏母(じゅんでいぶつも)という名で呼ばれたりもします。

その姿は1面の顔に3つの眼、18の手の造形が多いようで、手の数が多いことから千手観音と間違われることもあります。

千手観音との見分け方は、胸の前の手が合掌しているのが千手観音で、准胝観音は親指と人差し指で丸を作ったOKサインのような手の形を組み合わせる「説法印(せっぽういん)」を結んでいます。

如意輪観音(にょいりんかんのん)

如意輪観音六道のひとつ、天道(てんどう)では如意輪観音として衆生を救済します。

如意輪とは全ての願いを叶えるといわれる如意宝珠(チンターマニ)と煩悩を破壊するといわれる武具の法輪(チャクラ)のことです。

基本的には立像はなく坐像であり、片膝を立てて座った6本の手の造形が多いようです。

その手には象徴ともいえる如意宝珠と法輪を持っています。

不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)

不空羂索観音天台宗の系統では准胝観音の代わりに不空羂索観音を加えて六観音とされます。

または、そのまま不空羂索観音を加えた七観音をする場合もあるようです。

1面の顔に3つの眼、8本の手である造形が多く、胸の前の2手で合掌し、さらに別の2手は掌を前に向け指側を下方にする、話を聞きますということを表す「与願印(よがんいん)」を結んでいます。

その他の手には持物が握られ、そのうちの一つは名前にもある通りの縄状の持物「羂索(けんさく)」があります。

 

三十三観音

高崎白衣大観音その他にも33もの姿に变化し、それぞれに名前があります。

その中では白衣観音(びゃくえかんのん)が最も有名でしょうか。

頭から布をかぶった姿で、仏画や掛軸に描かれることが多く、造像されることもある観音菩薩です。

高さ41.8mの高崎白衣大観音の大きさは圧巻です。

 

観音菩薩の变化とは

観音菩薩の变化とは、慈悲の心で、全ての衆生の願いを叶え、救済するということの表れなのです。

観音様の名前を呼び救済を求めるものの状態に最も相応しい姿に变化するのです。

観音様は菩薩という、如来の位へと昇るために修行中の身であり、あらゆる衆生の救済という請願が叶わなければ如来にはならないという決意を持っているのだそうです。