ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2021年2月12日
舎利子(しゃりし)とは
- 株式会社ぶつだんのもり
- もくりんくん
舎利子(しゃりし)という言葉を聞いたことはないでしょうか。
日本で最も有名なお経と言っても過言ではない「般若心経(はんにゃしんぎょう)」こと「般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみったしんぎょう)」において2度、舎利子という言葉は登場します。
般若心経にも出てくるこの舎利子とは一体何なのでしょうか。
舎利子とは人物
舎利子とは舎利弗(しゃりほつ)ともいい、実は人物なのです。
言語名ではシャーリプトラといい、インドでバラモン教の家柄に生まれますが、後にバラモン教を離れ自由思想の沙門(しゃもん)となります。
その後、不可知論者サンジャヤの教団の高僧となりますが、お釈迦様の弟子と出会い、その教えの一部を聞いたことにより感銘を受け、悟りの入口の段階にまで達し、改宗をしてお釈迦様の弟子となります。
舎利子はお釈迦様の弟子の中でも主要な十大弟子の1人となり、中でも上首に位置し、智慧第一と称される程となったのです。
般若心経に登場する舎利子
般若心経の一節
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄
舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識亦復如是
舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減
ここでは、お釈迦様が「舎利子よ」と呼びかけて、観音様がたどり着いた真実を教えているのです。
般若心経はお釈迦様が弟子の舎利子に、この世の全ては実体の無い「空」であるという教えを説くというお経なのです。
(※観音様が舎利子に呼びかけて自身がたどり着いた真実を教えていると解釈される場合もあります。)
阿弥陀経には何度も登場する舎利弗
阿弥陀経の一節
舎利弗。於汝意云何。彼仏何故。号阿弥陀。
舎利弗。彼仏光明無量。照十方国。無所障碍。是故号為阿弥陀。
又舎利弗。彼仏寿命。及其人民。無量無辺。阿僧祇劫。故名阿弥陀。
舎利弗。阿弥陀仏。成仏已来。於今十劫。
又舎利弗。彼仏有無量無辺。声聞弟子。皆阿羅漢。非是算数。之所能知。諸菩薩衆。亦復如是。
舎利弗。彼仏国土。成就如是。功徳荘厳。
阿弥陀教においては舎利弗の名前で何度も何度もお釈迦様より呼びかけられます。
妙法蓮華経でも幾度となく登場
妙法蓮華経の一節
舎利弗。吾従成仏已来。種種因縁。種種譬諭。広演言教。無数方便。引導衆生。
令離諸著。所以者何。如来方便。知見波羅蜜。皆已具足。
舎利弗。如来知見。広大深遠。無量無礙。力。無所畏。禅定。解脱。三昧。深入無際。成就一切。未曾有法。
舎利弗。如来能種種分別。巧説諸法。言辞柔軟。悦可衆心。
舎利弗。取要言之。無量無辺。未曾有法。仏悉成就。止。
妙法蓮華経でも舎利弗の名前を何度も呼びかけられています。
舎利子はお釈迦様のお気に入りの弟子!?
このように舎利子は様々なお経の中で、お釈迦様より度々呼びかけられて教えを説かれています。
仏教の法要に参列された事があるなら、そのほとんどの人は舎利子か舎利弗の名を耳にしたことがあるのかも知れません。
こんなにもお釈迦様が直々に何度も呼びかけられて教えを説かれるということは、舎利子はお釈迦様のお気に入りの弟子なのかと思ってしまいますね。
それは舎利子がお釈迦様の実の子供である羅睺羅(らーふら)の師となるよう任された事からも伺い知れます。
お釈迦様からの信頼も厚かったようで、時にはお釈迦様の代わりに説法を任される事もあったようです。
舎利子の生涯の親友、目連
舎利子には生涯の親友といえる人物がいます。
名を目連(もくれん)といい、舎利子の隣村に住んでいた人物です。
舎利子とともにバラモン教を離れ、サンジャヤ教団に入り、サンジャヤでは解決できない迷いを解決できる先生を知ることができたら共に教え合おうという約束をし、舎利子に教えてもらったお釈迦様の弟子となるのです。
目連も舎利子と同様にその力量を発揮し、神通第一と称され舎利子と並んでお釈迦様の二大弟子といわれるほどなのです。
舎利子の最期
舎利子の最期は病死です。
師のお釈迦様よりも、自身の母親よりも早くに亡くなってしまいます。
お釈迦様に出会ってからは生涯を仏教を広めることに捧げた舎利子は、自分の死期を悟った時に、最後に母親にも仏教を伝えたいと思い、生まれ故郷へと帰るのです。
そして、母親に最後の説法を行い亡くなったということです。