ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2021年1月17日

一日一生ということば

  • 株式会社佐倉幸保商店
  • 佐倉浩徳(代表取締役社長)

私の好きな言葉に『一日一生』という言葉があります。

色々な意味のあるこの言葉ですが、私の中の『一日一生』は天台宗大阿闍梨(だいあじゃり)の故酒井雄哉氏の説く言葉です。阿闍梨(あじゃり)とは弟子の模範となる位の高い僧侶のことで、大阿闍梨(だいあじゃり)は阿闍梨の中でも深い学識や高い徳を供えた僧侶が呼ばれます。酒井氏は40歳で仏門に入られました。そして7年間にわたって行われる過酷な修行である千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)を53歳と60歳で2度も達成されました。その過酷さは想像を絶するもので、中には一日平均84キロの巡拝を100日間続け、その後30キロを100日間、計200日間歩き続けるものや、9日間に渡る断食・断水・断眠・断臥(横たわること)をした後に10万回真言を唱え続ける『堂入り』と呼ばれる修行などもあります。満行された時の総歩距離は約4万キロにも及び、これは地球1周分の距離に値します。60歳という年齢での千日回峰行の満行は最高齢であり、2度も達成された方は比叡山1200年の歴史の中でも3人しかいらっしゃらないそうです。また、1度目を満行されすぐ2度目に入られたその身心の強さには敬服いたします。

 

そんな酒井氏の言葉に一日一生があります。

物事や人生は、次の日になれば急に変わっていたり、新しい世界が開けるわけではない。しかし、何も変わっていないわけでもない。少しずつ、日々生まれ変わっているのです。千日回峰行中、その日一日歩きまわり履き潰れたわらじを脱ぐ、そしてまた次の日には新しいわらじを履く、同じように今日の自分は今日で終わる、明日にはまた新しい自分なのだとおっしゃられています。

『一日一生』

今日一日を一生だと思って生きる明日はまた新しい人生、あせらず、あわてず、あきらめず、無理をしない

『一日を中心に生きる』

人は毎日、新しい気持ちで出会える 人からすごいと思われなくたっていいんだよ

 

上手くいかないことや失敗をすることは誰にだってある。そんなとき、くよくよ思い悩むのではなく、その日のうちに反省すれば良い。明日には明日の『一日一生』を一生懸命に生きれば良い。千日回峰行を2度も達成された酒井氏だからこそ、この言葉はたくさんの人の心に深く響くのだと思います。『一日一生』私にとってこの言葉は、気持ちを前向きにし、背中を押してくれる大切な言葉です。