ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2020年12月29日
娘からの突然のメール
- お仏壇と墓石の太田屋
- 太田博久(代表取締役)
お父さんは、いま後悔していることってある?
東京で学生生活を送る次女から、突然そんなメールが届きました。時間は夜中の3時。何があったのか、とても心配になりました。
次女は大学3年生。自分の将来について、具体的に悩み、考えている最中です。そんな時期に、ふと2年前に他界した祖父のことを思い出したようでした。
入院はしていたものの、まさか父が急に亡くなるとは、家族の誰もが思ってもいませんでした。できる治療はひと通り行い、治療のための入院をこれ以上する必要がなくなったため、翌日に他の病院へ転院する予定でした。その前日、容態が急変し父は亡くなりました。
実はその時、次女はカンボジアに居ました。子どもの頃からずっと途上国支援に関心があり、その可能性を追求することを視野に受験を頑張り、大学に入学して初めて関わったNPOで、カンボジアでの民家建設支援ボランティアのために現地に到着したばかりでした。
とても悩みました。次女に伝えるべきか否か…。皆で相談しましたが、闘病中の父に次女の活動を伝えた際、父が嬉しそうに「それはいい。思い切りやってみればいい!」と喜んでいた姿を思い出しました。次女には帰国までは伝えず、カンボジアでの活動を全うさせることを優先しました。
「おじいちゃんのことを寝る時に考えていて、自分はおじいちゃんに成長したところを見せたり話したりすることが何もできなかったな…と悲しくなって。おじいちゃんとまともに向き合ったこともなく、今頃もう遅いな…と涙が止まらなくなってしまった。」それが夜中の、突然のメールの理由でした。
私は仕事柄、常に死別の悲しみ(グリーフ)と向き合い、考え続けているつもりでしたが、次女に父の死をすぐに知らせず、お葬式にも立ち会わせなかったことを改めて考え直しました。それでも、次女の活動を大いに喜び賛同し、後押しするつもりだった父が、現地に到着し「さあ、これから」という孫を帰国させて喜ぶとは、やはり思えませんでした。
「カンボジアに行くことを伝えたら、おじいちゃんはすごく喜んでいたんだよ。今もそうやって改めて思い出してくれることを、きっと喜んでいるはずだよ。だって、それは心の中におじいちゃんが存在しているってことだから。」
メールの翌日、次女と電話でそんな会話をしました。次女の心の中に存在する父が、これからも彼女の人生を支え続けてくれることを願いながら…。