ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2020年11月22日
蓮の花のおはなし
- 株式会社佐倉幸保商店
- 佐倉浩徳(代表取締役社長)
大きなお寺の境内には自然が多くあります。たくさんの花や木々の中でも多く見られるのが蓮の花です。蓮の花は仏像などの台座に使用されたり、仏様が手に持っていたり仏教と深く関わり合いのある花なのです。今回はその蓮の花についてお話します。
蓮は仏教の象徴の花とされています。“池の中に蓮華あり、大きな車輪の如し”と阿弥陀経の中にも登場し、極楽浄土には蓮の花が咲いていると説かれています。正しい信心を持つものが生まれることができる極楽浄土。その正しい信心の特徴と蓮の花の特徴が合っているので、仏教の象徴とされているのです。例えば、蓮の花は環境の良い高原陸地には咲きません。泥の中で育ちます。不浄な泥の中で逞しく茎を伸ばし、水面に出ると泥に染まることのないとても大きく美しい花を咲かせます。また蓮の花はきれいな真水で育てると小さな花しか咲かないそうです。泥水が濃ければ濃いほどに大輪の花を咲かせると言われています。それは人間も同じで、泥水は言わば人間にとっての辛く悲しいこと。それを乗り越えないと大きな花は咲かせられない(正しい信心は得られない)ということですね。また、“蓮が花を咲かせた後、たくさんの種を残して枯れ落ち、その種がまた泥の中から力強く次の花を咲かす”この繰り返しが輪廻転生と重なるとし、仏教では輪廻転生を芙蓉(ふよう)と呼んでいます。この『芙蓉』日本ではあまり聞きなれないですが、実は蓮の別名です。この他にも仏教には蓮の花からの『教え』がたくさんあります。蓮はその生き方を通して私たちに多くのことを教えてくれているのです。
近頃は窮屈に感じることが多いですが、その分今までの日常の幸せを考え噛みしめることができる時期でもあります。いつか大きく咲くための、耐える一時として大切に過ごせたら良いですね。