ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2020年10月13日

納得いくお別れ

  • お仏壇と墓石の太田屋
  • 太田博久(代表取締役)

名前に「八」の字の付く父が、「八十八歳」で亡くなり、奇しくも「八日」の葬儀で送ることになった。亡くなる前日に「いい人生だった」との言葉をもらした父の人生は、「八の字」に象徴されるように末広がりだったのだと思う。

友人のお父様が亡くなり、弊社でお葬式のお手伝いをさせていただきました。幼馴染みでもあり、ご家族もよく存じ上げた親友と呼べる彼が、喪主として会葬礼状にそう記した文章を読みました。

数字の「八」にまつわる彼やご遺族の思いは、科学的には何の根拠もなく、単なる偶然に過ぎないのかもしれません。でも、彼がそう感じ、ご遺族がそう信じ、この「不思議」に意味を見出すことで、お父様の死を意味づけし、「納得いく別れ」につなげていることは、誰も否定することができない厳然たる「事実」です。

この「事実」を受け入れることによって、彼とご遺族の皆さんは、喪失感を抱えながらも、きっとお父様との新たな関係を結び直していけるのだろうと思います。

もちろん、亡くなる年齢や看取りができたかどうかといった死の迎え方でご遺族の向き合い方は大きく異なりはしますが、それでも、かけがえのない方の死は、決して「無」を意味するわけではなく、ご遺族が納得できる意味を持たせることで、この先のご遺族の人生を支えていく力に変えられるのだ、と改めて、強く思いました。