ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2020年10月11日

お迎えが来る時

  • ほこだて仏光堂
  • 早川 登
桜散る

誰にでも、いつか「お迎えの時」は来ます。
我々葬儀屋は、お亡くなりになられた故人様のお身体を、お迎えに行きます。
その時、病院あるいは介護施設によって、対応は様々だと思います。

何せ、病院も介護施設も大変忙しいところです。お迎えに行くと、看護師の方がバタバタと忙しそうに、故人様を搬送車に乗せるのを手伝ってくれます。
最後は出発する搬送車へ手を合わせてお見送りをし、またすぐにお仕事に戻られる。
それがどの病院や施設でも精いっぱいだと思っておりました。

その中で、ひときわ印象に残った病院がありました。
ある日、私が病室まで故人様をお迎えに行った時、
その病院は、担当された医師の方や、看護師の方々が、お亡くなりになられたばかりの故人様を囲んで、故人様の家族の方々に声をかけておられました。
通常であれば、忙しそうにしている医師や看護師の方々が、その最後の時だけは、ゆっくりと、ご家族の心を癒すように、故人様を看病された日々を思い出し、語られていたのでした。
医師や看護師の方々が、ご家族の方に、故人様のお人柄を思い出すように語られ、ご家族がそれを聞いて涙を拭っている姿を見て、私も思わず目頭を押さえてしまいました。

「ああ、最後は家族に囲まれ、こんな温かく最後を看取られたい」

そう思わずにはいられませんでした。

現在、私の母も、その時の病院でお世話になっております。
母の病気は決して軽いものではありませんが、治療から帰ってきた母が、医師や看護師の方々とのエピソードを楽しそうに話しているのを聴いていると、その病院を選んで良かったと感じております。

お迎えが来る時。

自分の家族が、穏やかな最後を迎える環境であってほしい。
その為にはその方に寄り添い、家族や協力してくれる周囲の方々の温かい支えが必要なのだと感じております。