ためになる!?ぶつだんやさんコラム

2020年10月5日

「3密」と「三密」

  • お仏壇と墓石の太田屋
  • 太田博久(代表取締役)

今や「3密」という言葉を知らない方はいないでしょう。言わずと知れた、新型コロナウイルス感染症の基本的予防策で、「3つの密」を避ける、つまり「密閉空間」を避ける、「密集状態」を避ける、「密接関係」を避けるを指します。

私はこの「3密」という言葉を耳にしても特に気にはなりませんでしたが、僧侶などの仏教者にとっては違和感ある表現のようなのです。地元でお付き合いのあるご住職から「3密を避けてと呼び掛けられる度に、ドキッとします」とのお話をお聞きし、なるほどと納得しました。

お釈迦様が説いた仏教の教えに「四諦(したい)」があります。よく言われる「苦・集・滅・道」のことで、その中のひとつ「道諦(どうたい)」は「苦を止滅する道」、すなわち「苦しみを取り除く方法」を表します。その方法として示されているのが「八正道(はっしょうどう)」です。

八正道の中に「正思(しょうし)」「正語(しょうご)」「正業(しょうごう)」が挙げられています。「正思」とは「正しい思惟」で、貪り・怒り等の偏った心を持たないこと、「正語」とは「正しい言葉」で、嘘・中傷・悪口等をしないこと、「正業」とは「正しい行為」で、殺し・盗み・淫欲等をしないこと、といった意味になります。仏教では、これらの三つ「心と言葉と行い」を正しく保つことを「三業(さんごう)」と呼んで大事にするそうです。そして、ここで登場するのが仏教の「三密」です。

密教の宗派では、この「三業」を「三密」と呼び、とても重視する概念なのだそうです。仏教で言う「三密」は、実は「仏の心と言葉と行い」を指し、「三密」の実践・実現こそが「苦を滅する方法」=「八正道」という正しい道なのですね。それを「3密を避けなさい」と言われれば、その度にご住職がドキッとするのも無理もない話です。

感染防止策として皆で「3密を避ける」社会から、いつか皆で「三密を実践する」世の中へ変わっていくことを願います。