ためになる!?ぶつだんやさんコラム
2020年9月8日
重陽の節句
- お仏壇と墓石の太田屋
- 太田博久(代表取締役)
9月9日は五節句のひとつ「重陽(ちょうよう)の節句」。別名「菊の節句」です。
1月7日の「人日(じんじつ)の節句」、3月3日の「上巳(じょうし)の節句」、5月5日の「端午(たんご)の節句」、7月7日の「七夕(たなばた)の節句」、そして「重陽の節句」で五節句とされます。
五節句は季節ごとの食べ物を神様にお供えし、共にいただき祝う行事で、江戸時代に幕府が公的な行事(祝日)と定めたことで広く知られるようになったようです。
古来中国では、奇数(陽数)の日は縁起のよい「陽の日」とされ、その数が重なる日を祝いました。中でも最も大きな「9」が重なる9月9日は「陽が重なる=重陽」として、とてもおめでたい日とされたそうです。
「重陽の日」に欠かせないのが「菊」。旧暦では菊の花が咲く時期で「菊の節句」とも呼ばれます。中国には菊の花からしたたる露が川に落ち、その川の水を飲み長寿になったという伝説もあり、また菊が延命長寿の霊草と信じられていたこともあって、無病息災と不老長寿を願う行事とされました。日本には奈良時代に伝来し、平安時代には宮中行事となったようです。
そんな「重陽の日」ですが、最近は他の節句と比べると、知名度においてかなり劣勢に立たされています。1月7日はお正月で「七草粥」があり、3月3日は「桃の節句」として雛祭りをし、5月5日は「こどもの日」として祝日となり、7月7日は牽牛と織女の「七夕伝説」が知られ…比較するとやはり地味な印象があります。また「9」という数字は日本人には「苦」が連想されることも影響しているのかもしれません。
いずれにしても「健康で不老長寿を願う」のは、本来は私たち誰もが望むことでしょう。コロナ禍の今、菊の花をめでながら、改めて「重陽の日」を見直してみるのもよいかもしれませんね。